飼育方法

QRコードを用いた個体管理システム

最終更新日 2023/01/17
兵庫牧場では育種改良のため、鶏を1羽1羽個体ごとに管理しています。
これは、家系(血縁)情報の把握と、体重や産卵率等のデータを個体ごとに収集するためです。
そのため、兵庫牧場で飼養するすべての鶏には、個体番号が割り振られています。
翼帯(よくたい)による管理
これまで鶏の個体番号は翼帯(よくたい)というアルミ製のバンドで識別してきました。
写真のように、翼帯は記号と数字が刻印されており、これを鶏に装着することで1羽ごとに個体を識別することが可能となります。
個体番号はヒナがふ化した時に割り振られます。
ふ化直後はヒナの脚に翼帯を装着しますが、ヒナが成長するに伴い脚が太くなり、翼帯がきつくなります。兵庫牧場では6日齢で、翼帯を脚から外して翼膜へ付け替えます。
 翼帯の問題点
個体ごとにデータを収集する際、この翼帯の個体番号を目視により確認する必要があります。
例えば、兵庫牧場では4~6週齢時に各個体の体重測定を実施しております。
作業係が鶏の翼帯を目視で確認し個体番号を読み上げ、記録係がこれを聞き取って、測定した体重を記録します。この時、作業係の個体番号の読み間違いや、記録係の個体番号の聞き間違いが起こる可能性があります。
このように翼帯は人為的ミスが起こりうる可能性があり、作業的にも多大な労力を要します。
QRコードラベルによる管理
2014年から、翼帯の代わりとなる個体識別具の検討を開始し、様々な試行を繰り返しながら、現在のQRコードラベルとプラスチックタグ(留め具)が完成しました。QRコードラベルを鶏に装着し、機器を使って個体番号を読み取ることにより、人為的ミス発生の防止と、作業の労力軽減・効率化が図れます。
QRコードラベルは、ヒナの翼膜にプラスチックタグ(留め具)を使って装着します。
ふ化直後のヒナは、まだ翼膜が小さく、プラスチックタグを装着することが困難です。
そのため、QRコードラベルに輪ゴムをホッチキス止めし、この輪ゴムをヒナに背負わせるようにして仮装着します。その後、ヒナが大きくなり、翼膜がある程度大きくなってから付け替えます。
兵庫牧場では、6日齢でヒナに背負わせたQRコードラベルを外し、輪ゴムを取り除きます。
プラスチックタグで翼膜へ装着します。
 QRコードを用いた作業の様子
ハンディーターミナルで個体番号のQRコードを読み取り体重計に鶏を乗せると、無線通信でタブレットのデータベースに個体番号・体重データが自動で入力されます。
これより、個体番号の読み間違いや聞き間違いがなくなる上に、作業時間も大幅に短縮されます。
 QRコードタグの脱落率
2021年にQRコードタグの脱落率を調査したところ、ふ化から7週齢まで約2%でした。
調査では主に肉専用種を用いています。
日本鶏などの体格の小さい鶏種は、付け替える日齢を調整する必要があるかもしれません。
兵庫牧場における個体識別の流れ
兵庫牧場では、ふ化から成鶏舎へ移動するまでは翼帯及びQRコードタグにより個体識別を行っています。将来的にはすべての個体にQRコードタグを装着することを想定しています。
 
成鶏舎に移動後は、 翼章 を使って個体識別を実施しており、QRコードタグから翼章への付け替え作業は、鶏が大すう舎にいる16週齢頃に行っています。
バーコードを利用したデータ管理方法については こちら をクリックしてください。
その他
畜産技術2020年4月号研究レポートに、「QRコードを用いた鶏個体識別システムの開発」として更に詳細が掲載されています。
 
 
 
 
 
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家畜改良センター兵庫牧場 業務課
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