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用語集

最終更新日 2017/03/03
肉用種、肉用鶏、肉用種鶏
肉用種とは、最初から肉用目的で生産される品種を指します。特にブロイラーを作るための鶏種を肉専用種、または単に専用種とも呼びます。なぜ専用種と呼ぶかですが、軽量な地鶏でも肉用に飼育されることや、卵用鶏の廃鶏も食用に回ることから、これらを区別するために、ブロイラー作出に使われる増体性の改良が進められた鶏種を肉専用種と呼びます。また、ロードアイランドレッド種や横斑プリマスロック種は、分類的には兼用種ですが、肉用タイプと卵用タイプにそれぞれ改良が進んでいるため、肉用タイプに改良された兼用種は準専用種とも呼びます。

肉用鶏と言った場合は、前述の肉用種を指して使う場合と、肉用とされる地鶏やブロイラー(コマーシャル鶏)を指している場合、また、どちらも含めて使っている場合とがあります。

肉用種鶏と言った場合は、肉用種の種鶏を指します。種鶏とは、コマーシャル鶏を生産するための鶏のことで、通常、コマーシャル鶏の親世代を種鶏(PS:Parent Stock)、その親世代を原種鶏(GP:Grand Parent)、そのまた親世代を原原種鶏(GGP:Great Grand Parent)と言いますが、PSからGGPなどを全て含んだ意味で種鶏と呼んでいる場合もあります。種鶏の使命は次世代のヒナを多く生産することなので、より高い産卵率が求められます。ニワトリは、体重が重くなると産卵率が減少する傾向にあります。肉用種鶏は体重が大きくなるように改良されていますが、産卵率を最大限に発揮させる飼育をしなければならないという難しさがあります。
国産鶏、国産鶏肉、国産鶏種
外国銘柄鶏と区別する意味で、国内で育種改良されている系統やそれを用いたコマーシャル鶏を国産鶏と言います。外国銘柄鶏の場合、外国からGPが輸入されて国内でPSが増殖されたり外国から直接PSが輸入されたりして、国内でコマーシャル鶏が生産されて養鶏農家に渡りますが、この場合、国産鶏とは呼ばなくて国産外国鶏となります。

国産鶏肉といった場合は、輸入鶏肉と区別する意味で使われます。日本で飼育された鶏の肉を指すので、外国銘柄鶏であっても国内で生産された鶏の肉は全て国産鶏肉となります。
ちなみに、国産牛といった場合は、国産牛肉の意味で使われ、国内で肥育した牛肉を指すので、鶏の場合と使われ方が違います。「牛」という文字を「ギュウ」と呼んだ場合、牛肉を指して用いられることが多いためかも知れません。国産豚と言った場合は国産鶏の場合と同様で、国内で造成されている系統から作出された銘柄をさして使われています。

一般のブロイラーと区別する意味で、地鶏や特殊な飼育をした肉用鶏を一括して「国産銘柄鶏」と総称されるようになりました。国産銘柄鶏は、地鶏と銘柄鶏に分かれますが、銘柄鶏の中には外国のコマーシャル鶏が使われている場合もあります。この場合、外国鶏でありながら国産銘柄鶏である場合も出てきました。また、外国鶏種が片親に使われていても国産鶏と呼んでいる場合も見られます。
そこで近年、国内で育種改良されている系統のみから生産される国産の銘柄鶏(本来の意味での国産鶏)を、「国産鶏種」と呼ぶ様になりました(「国産鶏種はりま」、「国産鶏種たつの」など)。「国産鶏種」は、種から国産であり、輸入に依存していない鶏種です。
ちなみに、外国鶏と言った場合は、外国の育種会社によるコマーシャル鶏や種鶏を指して用いる場合と、白色コーニッシュ種や白色レグホーン種と言った原産国が外国のニワトリ品種を指して用いる場合とがあります。日本鶏と言った場合は、明治までに国内で成立した鶏種を指して用いられます。
精肉、正肉、生肉
「精肉店」でおなじみの「精肉」は「せいにく」と読んで、国語辞典などでは、精選された上等の肉などと説明されていますが、要するに食用の肉という意味です。転じて、厚切り、薄切り、ひき肉など料理に適した形状に切り分けた状態の肉を指しても使われています。

「正肉」は、「しょうにく」と読みますが、焼鳥屋さんでは「せいにく」と読まれており、使われ方が少し違います。牛肉と豚肉で正肉(しょうにく)というと、枝肉を大分割あるいは小分割して骨と余分な脂肪などを外した状態を言い、枝肉歩留まりに対して正肉歩留まり(しょうにくぶどまり)といった使われ方をします。鶏肉の場合(食鶏取引規格)では、ムネ肉とモモ肉の骨を外した状態を指して用いて、モモ正肉、ムネ正肉という使われ方をします。流通用語なので一般家庭で使われることはありません。ちなみに骨付きムネ肉ですが、ムネ肉に手羽元を付けた状態のものと、竜骨(胸骨)にササミごと付けた状態の二種類があります。鶏の正肉はこれとは別に、部位ごとに分けた状態のものを指して使われていることもあるようです。
焼鳥では、「正肉」を「せいにく」と読んだ場合は特に鶏モモ肉を指します。焼鳥の歴史を見るとブタの内臓などを使っていた時代があったことから、鶏肉のモモ肉を「正肉(せいにく)」と呼んだものと思われます。北海道の焼鳥屋さんでは、トリ正肉・ブタ正肉と正肉(せいにく)には何故か豚肉もあってブタ正肉は豚バラ肉になります。
ただし、地域によっては焼鳥屋さんでも「正肉」を「しょうにく」と読んでいる所もあります。流通用語の正肉「しょうにく」が使われているようで、モモ正肉、ムネ正肉と呼んでいる所も見かけます。

「生肉」は「せいにく」または「なまにく」と読みますが、冷凍肉と区別する意味で用いられる場合と、流通過程の場合などでは加工された肉や調理された肉と区別する意味で冷凍肉も含んで「生肉」と用いられている場合とがあります。
バタリー、バタリーケージ
日本でバタリーと言うと、多段式の育すう器を指して使う場合と、木や竹で作ったケージを指して使う場合とがあります。イギリスでは鶏のケージをbatteryと呼び、電池のバッテリーや野球のバッテリーとスペルも発音も同じです。日本では明治に入ってイギリス人から採卵鶏の飼育方法を教わりますが、木や竹を用いて飼育する檻を作ってバタリーと呼びました。続いて、アメリカ人にも教わりますが針金製の檻を用いてケージと教わります。アメリカではバタリーとは言わずにケージと呼んでいました。どちらも鶏などを飼う檻の意味ですが、日本では金属製のものをケージ、木や竹で作ったものをバタリーと呼んで区別するようになりました。したがって、この区別の仕方は日本だけのことです。
今では死語のようになっていますが、以前はバタリー病と呼ばれた病気がありました。中すう期に起こりやすく、バタリー(木竹製)で飼育すると皮膚が壞死してしまい死んでしまう病気ですが、今では浮腫性皮膚炎と呼ばれています。ブドウ球菌によるもので、バタリーの消毒不十分が原因です。

一方、多段式の育すうバタリーは、イギリスの会社が開発普及したことによって定着します。開発したのがイギリスなのでバタリーと呼ばれたわけですが、材質に関係なく多段式の育すう器はバタリーと呼ばれます。
最近では、「バタリーケージ」という使われ方もあります。アニマルウェルフェアを考慮した止まり木や砂浴び場を付けたケージを「エンリッチドケージ」と呼び、従来型のケージのことを「バタリーケージ」と呼んで区別しています。この「バタリーケージ」という用語は、従来型のケージを指す言葉としてイギリス式の呼び方とアメリカ式の呼び方を合わせて作った造語です。
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