独立行政法人
家畜改良センター岩手牧場

家畜改良の推進、優良な種畜や飼料作物種苗の生産・供給等を通じて、
我が国の畜産の発展と国民の豊かな食生活に貢献することを使命としています。

家畜改良

繁殖技術

最終更新日 2018/06/07

検定事業と岩手牧場の関係

ホルスタイン種の育種改良を推進する上で、「後代検定」と「牛群検定」という重要な事業があります。「後代検定」は、個体の遺伝的能力をその子供(後代)の検定記録から推定する方法で、乳用牛の雄の泌乳能力のように個体そのものでは測定できない形質について選抜を行う場合に有用な検定方法です。また、「牛群検定」は、農家の飼養する全乳用牛について、個体ごとに泌乳量、乳成分率、体細胞数、濃厚飼料給与量、繁殖成績などを測定・記録し、その結果を飼養管理の改善などに活用し、酪農経営における生産性の向上を図ることを目的に実施しています。
岩手牧場では、「後代検定」と「牛群検定」それぞれの事業を活用し、種雄牛の作出を行っています。

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種雄牛作出システムの紹介

乳用牛の改良を進めるためには、①遺伝的能力を性格に把握して優れた雄・雌を選抜し次の世代の牛を生産すること、②世代間隔を短縮し優れた能力を持つ次世代の牛を迅速に活用することが効果的です。岩手牧場では、次の2つのシステムにより育種改良を推進しています。

未経産採卵・ドナー初産検定システム

国内外より多様な育種素材を導入し、生まれた雌子牛の中から能力が高いと期待されるものについて育成の段階でドナー牛として採卵を実施し(バージンフラッシュ)、得られた受精卵を受卵牛へ移植して子牛の生産を進めつつ、ドナーが妊娠可能となった段階で人工授精で受胎・分娩させ、泌乳能力検定及び体型審査を行います。
受精卵移植で生産された子牛は、ドナー牛の泌乳能力検定と体型審査が終了し、能力が優れていることが判明した時点で、雄は候補種雄牛として、雌は次のドナー牛候補として選抜されます。


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候補種雄牛利用・泌乳持続性検定システム

初産次の泌乳能力検定及び体型審査により能力が優れていることが判明した雌牛をドナー牛として選抜します。ドナー牛が2産次分娩後、世代間隔短縮のため後代検定待機中候補種雄牛の精液を利用した採卵・受卵牛への受精卵移植を実施し、子牛の生産を進めます。その一方で、ドナー牛は採卵後早期に受胎させ、2産次の泌乳能力検定と体型審査を受検します。その結果、2産次検定成績が優れ、かつ泌乳持続性が高いことが判明したドナー牛の雄子牛は、候補種雄牛として選抜されます。

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受精卵性判別

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受精卵から少しの細胞を採取し、LAMP法により受精卵の雌雄を判定する技術です。約2時間程度で判定ができます。岩手牧場では、以下の2つの方法を使い分けて細胞の採取をおこなっています
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牛胎子性判別技術

超音波画像診断装置を活用し、授精後約60~80日目の胎子の雌雄を判定する技術です。
この時期の胎子では、後に雌雄の外生殖器に発達する「生殖結節」が鮮明に映し出されます。生殖結節の位置が臍帯後方付近に見られる場合は雄、尻尾付近に見られる場合は雌と判定します。

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生体卵胞卵子吸引・体外受精技術(OPU-IVF技術)

岩手牧場では、生体卵胞卵子吸引・体外受精技術(OPU-IVF技術)にも取り組んでいます。何らかの原因で体内受精卵の採取(採卵)が困難な個体について生体内卵巣から卵子を吸引し、体外受精をすることによって胚を生産します。
この技術は、生体から何度も卵子を吸引できることから、従来の方法よりも効率的に胚生産ができることに加え、これまで採卵が困難であった若齢牛や妊娠牛、さらには繁殖障害牛からの胚の生産が可能となります。

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OPU-IVFの手順

直腸検査により卵巣を触知し、経膣プローブにより卵巣の超音波画像に映し出される卵胞を確認しながら吸引針を穿刺して卵胞の中にある卵子を吸引採取します。採取された卵子は、体外受精を行うには未熟な卵子(未成熟卵子)なので、シャーレの中で20~24時間成熟培養を行ない成熟した卵子(成熟卵子)にします。その後、その成熟卵子と精子を一緒に培養することによって、精子が卵子へ進入して受精が完了します。
受精した卵子は、受精卵(胚)と呼ばれ、細胞分裂が始まります。6~8日間シャーレの中で培養し、子宮へ移植可能なステージ(胚盤胞期)まで発育した胚を受卵牛に移植します。
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