家畜改良

育成牛の飼養管理

最終更新日 2023/03/22
生まれてくる子牛の遺伝的潜在能力を十分に発揮させるためには、育成期に適切な飼養管理を行ない良好な発育をさせることが大切です。
岩手牧場 子牛・育成牛の飼養管理フロー
 
候補雄牛を十勝牧場に輸送します
哺乳期から育成期までの飼養管理
生れた子牛には、初乳を十分に与え、分娩母牛とは別の牛舎で飼養管理を行います。
生後~63日齢(9週目)
生後間もない子牛は、免疫力や体力が弱いため、生後63日(9週目)までは群飼せずに一頭ずつ飼育します。こうすることにより、群での飼養に比べ、細菌感染のリスクを抑制できるため、子牛にとって安全な環境を提供することができます。また、子牛の体力がつく段階までは、この環境で飼養されます。岩手牧場では、畜舎内にトンネル換気を施した個別ペンを利用し個体管理を行っています。
子牛は、3日間初乳給与した後、代用乳(粉ミルク)をこの期間給与します。4~5週目を給与量ピークにした強化哺乳を行っています。これは高タンパク質・低脂肪の代用乳を使い、過肥にさせずにフレームサイズ(骨と筋肉)の発達を加速させる哺乳方法です。
岩手牧場では、カーフフィーダとカーフレールで構成される個体別哺乳ロボットを哺育牛舎に設置し、個別ペンの子牛に代用乳を自動給与しています。
6週目以降は、代用乳を徐々に減らし、人工乳ペレット(スターター)給与を増やしていきます。人工乳は、子牛の第一胃の発達を促進し、微生物相の形成を助けます。これにより、成牛と同様に乾草やサイレージ等の粗飼料の利用性が高くなってきます。
2ヵ月齢~6ヶ月齢
個別ペンで飼養されていた子牛は、63日齢を過ぎると成長段階に合わせて6頭の群をつくり、哺育牛舎で飼養します。搾乳牛の能力を最大限に引き出すためには、しっかりした体型とともに丈夫な内臓、消化器を作ることが重要です。そのためには、育成段階での良好な発育が不可欠です。
7ヶ月齢~13ヶ月齢
採食と運動により体の成長を促し、十分な粗飼料を摂取できる消化器を作ります(腹づくり)。
14ヶ月齢
14ヶ月齢頃から人工授精や受精卵移植の繁殖技術を用いて妊娠させます。また、発育に加え、妊娠・分娩・搾乳のための体をつくります。繁殖可能になると、第2育成牛舎へ移動します。