独立行政法人
家畜改良センター茨城牧場長野支場

家畜改良の推進、優良な種畜や飼料作物種苗の生産・供給等を通じて、
我が国の畜産の発展と国民の豊かな食生活に貢献することを使命としています。

山羊関節炎・脳脊髄炎(CAE)について

最終更新日 2017/08/25

2002年(平成14年)8月26日に独立行政法人家畜改良センター長野牧場の繋養山羊で山羊関節炎・脳脊髄炎が確認され、同日付けで家畜伝染病予防法第4条に基づく届出がされました。
今回確認された山羊関節炎・脳脊髄炎につきましては、我が国で初めての確認とのこともあり、全国的にも防疫体制、検査体制の未整備な中であり、防疫は極めて困難なものでものではありましたが、今後より一層防疫体制の強化に努め、安全・衛生的な山羊の供給に努める所存です。

なお、本病の概要は以下のとおりです。
病原体 山羊関節炎・脳脊髄炎ウイルス
感染経路 ・感染母山羊の除入及び上乳を介しての経口感染
・長期間にわたる接触による水平感染
・感染の多くは幼児期で感染後生涯ウイルスを保持していく
発症・症状 ・発症率は低く、多くは無症状に終わる
・潜伏期間は長く、数ヶ月から数年
・発病は潜行性で進行は緩徐で数ヶ月から数年に及ぶ
・主な症状-子山羊(2~4ヶ月令);脳炎
              -成山羊(12ヶ月令以上);脊髄炎
予防法 ワクチンはない。隔離飼育と経乳感染の防止で感染は90%以上減少させることができる。
治療法 対症療法の他に特に治療法はない
公衆衛生 人への感染性はない(感染山羊の肉、乳を摂食しても健康上の問題はない)
2002年(平成14年)9月25日に全頭検査の結果が届きました。186頭中陽性は113頭という結果でした。1998年(平成10年)のアメリカからの輸入山羊の導入以前の血清からも陽性個体が見付かっていることから、かなり以前から場内にウイルスが存在していたことになります。
清浄化対策
長野支場では2003年(平成15年)度から本病ウイルスのない清浄な子山羊を配布できるよう次のような対応を取っています。
  • 子山羊の親子分離による取得
    • 本ウイルスの感染は母から子へ初乳を介して起こるケースがほとんどです。このため、職員(2名)が宿直して分娩を徹夜で見張り、分娩時に子山羊を母山羊と接触しないよう取り上げることで感染のない清浄な子山羊を得ることに努めています。(分娩に立ち会えず、母山羊が子山羊をなめてしまったものは、親子分離は失敗として淘汰しています。)

  • 完全人工乳による哺育
    • 初乳及び常乳による感染を完全に防止するため、2003年生産の子山羊は人工初乳、代用乳により哺育します。軟便になる傾向はありますが、現在の所全頭がすくすく育っています。

  • ゾーニングによる完全分離飼育
    • 母山羊等はウイルスを保有する可能性があるなどリスクが高いため、清浄な子山羊エリアと汚染の可能性のある母山羊等エリアを完全に分離して、畜舎、職員、器具機材、堆肥置き場、乾草を各々のエリア内専用とするほか、相互に人や車等が行き来しないよう完全な動線管理を行います。

  • 抗体検査による陰性の確認
    • 9月、12月、3月に全頭個体の抗体検査を実施しているところですが、平成15年生産の子山羊についても2カ月令、4カ月令、6カ月令に抗体検査を実施して清浄化されていることを確認するとともに、来年度以降も年2回程度のモニタリング検査を継続的に実施していく予定です。

清浄化対策検討会
清浄化対策に問題ないかについて、下表の通り5回にわたって清浄化対策検討会を開催し、専門家に現地を見て頂くとともに、意見を頂きました。この結果、第5回清浄化対策検討会にて専門家から山羊関節炎・脳脊髄炎の清浄化が達成されたと考えて良いとのご意見を頂きました。
開催年月日 出席者
第1回 2003年(平成15年)3月14日 独立行政法人農業技術研究機構動物衛生研究所ウイルス病研究室 泉對室長、小西研究官
長野県松本家畜保健衛生所病性鑑定室 林主査
長野県佐久家畜保健衛生所防疫課 平沢博一課長、今村獣医師
独立行政法人家畜改良センター改良部生産衛生課 山口課長
第2回 2004年(平成16年)1月29日 独立行政法人農業技術研究機構動物衛生研究所ウイルス病研究室泉對室長、小西研究官
長野県佐久家畜保健衛生所防疫課 平沢久史課長、高橋獣医師
独立行政法人家畜改良センター改良部生産衛生課 山口課長
第3回 2004年(平成16年)6月7日 独立行政法人農業技術研究機構動物衛生研究所ウイルス病研究室村上室長、小西研究官
長野県佐久家畜保健衛生所防疫課 平沢久史課長、高橋獣医師
独立行政法人家畜改良センター改良部生産衛生課 白戸課長、種畜課 奥地課長
第4回 2005年(平成17年)2月25日 独立行政法人農業技術研究機構動物衛生研究所ウイルス病研究室村上室長、小西研究官
長野県佐久家畜保健衛生所防疫課 平沢久史課長、高橋獣医師
独立行政法人家畜改良センター改良部生産衛生課 白戸課長、種畜課 奥地課長
第5回 2006年(平成18年)1月30日 独立行政法人農業技術研究機構動物衛生研究所ウイルス病研究室村上室長、小西研究官
日本大学生物資源学部獣医学科獣医伝染病学 泉對教授
長野県佐久家畜保健衛生所防疫課 平沢久史課長、加藤獣医師
農林水産省関東農政局 消費安全部安全管理課 萩島課長
独立行政法人家畜改良センター改良部種畜課 奥地課長

結果

  • 2003年(平成15年)生まれの山羊について
    • 春生まれのザーネン種については、親子分離に成功した92頭について抗体検査を実施したところ2カ月令時に4頭(4.3%)に陽性反応が見付かり淘汰しました。動物衛生研究所の泉對室長によると反応が強いことから分娩後感染したのではなく体内で感染したものであろうとのことでした。残りの個体についてはその後の4カ月令、6カ月令における抗体検査においても陰性であり、6カ月令時に併せて実施したPCR検査においても陰性であることが確認されています。
    • 夏生まれのシバヤギにいては、親子分離に成功した28頭については2カ月令、4カ月令、6カ月令の抗体検査において全て陰性が確認されており、6カ月令で実施したPCR検査において1頭陽性のものが見付かり、淘汰しました。
    • 秋生まれのザーネン種(季節外繁殖)については24頭中6カ月令に1頭、12カ月令近くになって2頭陽性のものが見付かり、淘汰しました。

  • 2004年(平成16年)、2005年(平成17年)生まれの山羊について
    • 2004年生まれの親子分離等により生産された山羊の子供世代及び2005年生まれの孫世代からは一頭も陽性のものは出ておらず、完全清浄化が目前と考えられます。
    • 2004年生まれの子世代について24カ月令、2005年生まれの孫世代について12カ月令時点でも陰性が維持されていることから、清浄化が達成できたと考えて良い旨専門家から意見を頂きました。

こうした清浄化対策について地元の佐久家畜保健衛生所が「山羊関節炎脳脊髄炎(CAE)清浄化への取り組み」として2005年4月に開催された第46回全国家畜保健衛生業績発表会に発表され、農林水産大臣賞に表彰されています。
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