間性について
最終更新日 2017/03/29
間性とは

生殖能力のないヤギのことで、これは角の有無の遺伝と密接に関係しています。

 具体的には

  1. ヤギの角に関して無角(角の生えないヤギになる)の遺伝子と有角(角が生えるヤギになる)の遺伝子があること。

  2. この2つの遺伝子の関係としては無角の遺伝子は有角の遺伝子に対して優性であり、無角の遺伝子と有角の遺伝子がペアになった場合(ヘテロと言います)には優性の無角遺伝子によりヤギは無角になる。

  3. ちなみに無角の遺伝子がペアになった場合(無角ホモと言います)にはヤギは無角になりますし、有角の遺伝子がペアになった場合(有角ホモ)にはヤギは有角になる。

  4. 間性は無角の遺伝子が2つペアになった場合(無角ホモ)に起きることが分かっています。


これだけだと単純なのですが、間性を複雑にさせているのは4.の場合に間性になるのが雌に限定されていて雄は間性にならないということです。(この遺伝的背景については当方では説明能力がありませんので省略)

従って、ヤギの交配については無角のヤギどうしを交配しない限り絶対に発生しないものですので交配に注意して下さい。具体的に無角同士を交配した場合の間性の発生(理論値)は次のようになります。

●無角♂(この場合無角遺伝子がペアになったホモのものと無角・有角遺伝子のヘテロのものがあり得る)
●無角♀(この場合は無角遺伝子がペアになったホモのものは間性になるので、繁殖能力がないため繁殖できるものはすべて有角・無角遺伝子がヘテロのもの)

雄がホモかヘテロかは判断が付かないと思いますので、無角同士の交配をした場合に通常は子ヤギの1/8が間性になりますが、たまたま雄がホモの場合は子ヤギの1/4が間性になると考えて下さい。(たくさんの有角の雌と交配して子ヤギが全て無角の場合はこの雄は無角ホモの可能性が高いです。)

【無角ホモ♂×無角♀(ヘテロ)の交配】
全体の1/4に間性が生まれる可能性あり。
(全体の1/2が♂ですべて正常、全体の1/2が♀で♀の半分が間性になる(性比1/2×1/2=1/4))

【無角ヘテロ♂×無角♀(ヘテロ)】この場合が一般的
全体の1/8に間性が生まれる可能性あり。
(全体の1/2が♂ですべて正常、全体の1/2が♀で♀の1/4が有角、1/2が無角正常(ヘテロ)、1/4が間性になる(性比1/2×1/4=1/8))


間性(無角)遺伝子の診断

当場の無角山羊、有角山羊及び長野県内で採取した間性山羊の血液を分析したところ、間性のものは無角のヘテロや有角のものでは見られるバンドが見られないことが確認されました。しかし、現時点では無角の遺伝子は間性遺伝子と同じと考えられるため、無角ホモは間性遺伝子ホモということになってしまい、無角にこだわる限り間性はなくならないことになります。(無角ホモの場合、雄は間性にならず正常で、雌は間性になってしまいます。つまり間性は遺伝的に全て雌です。)

写真は陰部が突出しているタイプの一例