山羊の季節外繁殖技術について
最終更新日 2017/08/25

秋に発情が来て、早春に分娩をするというザーネン種などの乳用山羊の繁殖サイクルは、山羊乳や山羊乳加工品を通年供給する上で大きな障害となっており、このサイクルを人為的に変更することは、山羊飼養の産業的価値を高めるためには不可欠であると考えられています。
このため、当場では1997年(平成9年)度より各種ホルモン投与による山羊の季節外繁殖技術の開発に取り組んできています。以下にその取り組み方法及びその成果について紹介します。

1999(平成11)度の成績

FSHとPGF2αの併用処理区とPMSG及びPGF2αの処理区及びCIDR-G及びPMSGの処理区により3処理区により発情の誘起及び交配を試みています。
※発情誘起及びその受胎成績(単位:頭)

ホルモン処理 供試 発情 雄許容 受胎 分娩 生産
FSH+PGF2α 10 7(70%) 3 0(0%) 0 0
PMSG+PGF2α 24 17(71%) 15 2(13%) 1 1
CIDR-G+PMSG 9 7(78%) 7 5(71%) 5 8

本調査の中で、秋に分娩した場合、従来の泌乳曲線からすると乳量が低下する時期が春の良質な牧草(生草)が食べられる時期に重なることにより、乳量が持ち直すという興味深い傾向が確認されています。

 
2000(平成12)度の成績

前年の成績からCIDR-Gを用いた処理区で良好な成績が得られたことから、本処理について供試6頭全てに発情が確認され、そのうち3頭が受胎し、1頭が流産、2頭が各々1頭の産子を分娩しています。

ホルモン処理 供試 発情 雄許容 受胎 分娩 生産
CIDR-G+PMSG 6 6(100%) 6 3(50%) 2 2
2001(平成13)度の成績

合成黄体ホルモン投与(MPA;河野式クリーム法)及びCIDR-G+PMSGを用いた発情誘起を行ったところ、供試10頭のうち9頭に発情が見られましたが、受胎は確認されませんでした。ただし、1頭が流産らしき兆候が見られたとともに、他の1頭もホルモンの動態から受胎後胚が死滅した可能性が考えられました。

ホルモン処理 供試 発情 雄許容 受胎 分娩 生産
クリーム法(MPA) 5 4(90%) 4 1 0 0
CIDR-G+PMSG 5 5(100%) 5 0 0 0

MPA;酢酸メドロキシプロゲステロン

 
2002(平成14)度の成績

前年同様クリーム法とCIDR-Gを用いた発情誘起を行い、いずれの方法においても全頭に発情が見られ、自然交配をしています。
(前年は人工授精であったが、より高い受胎率を確保するため自然交配とした。)

ホルモン処理 供試 発情 雄許容 受胎 分娩 生産
MPA+PMSG 5 5(100%) 5      
CIDR-G+PMSG 5 5(100%) 5      
2003(平成15)度の成績

※MPA+PMSG

処理群 処理頭数 受胎頭数 流産等
第1群 9 8 1
第2群 10 2  
第3群 10 6  
第4群 11 3  
2004(平成16)度の成績
処理群 処理頭数 受胎頭数 流産等
MPA+PMSG 12  6  1 
2005(平成17)度の成績
処理群 処理頭数 受胎頭数 流産等
MPA+PMSG 10  6