1.目的
当場では、オーチャードグラスの採種量が低収に留まっている。その原因の1つは、採種量と密接に関係する「出穂茎数」の伸び悩みと考えられる。このことから、本調査では、出穂茎数への影響が報告されている秋施肥の時期について、茎数が最も多くなる適期を検討する。
2.実施年度
2011年(平成23年)~2014年(平成26年)
3.要約
オーチャードグラスの秋施肥の時期について、従来の8月下旬から約10日ごとに5つの条件区(8月下旬、9月上旬・中旬・下旬、10月上旬)を設け、各区における次年度の茎数を調査した。その結果、慣行の8月下旬よりも遅く施肥を行った区で茎数の増加が確認された。また、施肥の適期が存在する可能性も示唆された。一方、施肥効果の評価基準であるNSC(非構造性炭水化物)含量と茎数との間には有意な相関は見られなかった。
4.成果の概要
施肥時期を慣行の8月下旬よりも遅くすることにより、茎数が増える傾向が確認され、特に9月中旬に施肥を行うと茎数が最も多くなった。次年度以降、さらに調査を行い、施肥適期について検証する。
NSC含量については、分げつ数との密接な関係が報告されている株部(地際3cmの部分)について、次年度以降、再度検証を行うこととする。
5.具体的データ
2012年度 オーチャードグラスの秋施肥時期と種子収量に関する調査
最終更新日 2016/09/27
調査時期 | 茎数(本/㎡) | 草丈(cm) | 穂長(cm) | 種子収量(本/㎡) | 一穂種子収量(g/本) | 越冬前乾物重量(kg/10a) | 越冬前NCS(%) | 生育停止点からの積算温度 |
8月下旬 | 162.2 | 157.1 | 14.7 | 63.2 | 0.39 | 255.7 | 19.2 | 1219 |
9月上旬 | 193.3 | 155.0 | 14.3 | 76.1 | 0.39 | 284.0 | 19.1 | 1022 |
9月中旬 | 406.7 | 159.6 | 14.2 | 80.0 | 0.20 | 300.1 | 19.9 | 837 |
9月下旬 | 337.8 | 158.9 | 15.8 | 91.7 | 0.27 | 216.4 | 18.4 | 612 |
10月上旬 | 342.2 | 158.1 | 12.2 | 84.6 | 0.25 | 263.1 | 16.7 | 505 |
注)越冬前乾物収量およびNSCの調査年度は2011年度。NSCは乾物茎葉重に対する割合。