独立行政法人
家畜改良センター茨城牧場長野支場

家畜改良の推進、優良な種畜や飼料作物種苗の生産・供給等を通じて、
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2013年度 オーチャードグラスの秋施肥時期と種子収量に関する調査

最終更新日 2017/01/26

1.目的
当場ではオーチャードグラスの採種量が低収に留まっており、この原因の1つとして、採種量と密接に関係する「出穂茎数」の伸び悩みが考えられる。一方で、出穂茎数の増減に「秋施肥の施用時期」が影響することが報告されていることから、本調査では秋施肥の施用適期について検討を行う。

2.実施年度
平成25年度 (実施期間:平成23年度~平成26年度)

3.要約
オーチャードグラスの秋施肥の時期について、従来の8月下旬から約10日ごとに5つの条件区(8月下旬、9月上旬・中旬・下旬、10月上旬)を設け、各区における次年度(採種年)の茎数等を調査した。
その結果、9月中旬の施肥により茎数が最も多くなることが確認され、その時期は生育停止点から逆算して積算温度732℃(約72日)の時点であった(表)。また、種子収量についても、9月中旬の施肥により最も多くなる傾向がみられた(表)。
次に、出穂茎数が増大するしくみについて検証したところ、施肥日から生育停止点までの積算温度と越冬前の株部乾物重との間、萌芽期の株部乾物重と出穂茎数との間に相関が見られたことから、越冬期間の株の充実度が出穂茎数の増減に関係している可能性、また、その充実度には秋施肥の時期が関係している可能性が考えられた(株部乾物重について越冬前後の関係性については今後検証が必要)。

4.成果の概要
秋施肥の時期と出穂茎数の増減が関係している可能性を見いだすことが出来た。その適期については、「施肥日から生育停止点までの積算温度」によって評価できる可能性が考えられ、今回の調査においては、732℃の時点が適期であることが示唆された。

5.具体的データ
表.平成25年度調査データ
処理区分 施肥日から
生育停止点までの
積算温度
萌芽期の調査 収穫時の調査
株部乾物重 株数 茎数 種子収量 一穂あたり採種量
8月下旬 1165 0.27 731 474 ab 63.2 0.17
9月上旬 1002 0.24 576 393 b 80.6 0.21
9月中旬 732 0.31 585 609 a 86.2 0.14
9月下旬 560 0.26 773 399 b 72.5 0.18
10月上旬 412 0.31 771 413 b 72.2 0.18
  g/株部 本/㎡ kg/10a g/穂
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