シーダーテープの利用
最終更新日 2018/01/12

1.利用の背景
先行増殖や早期に原種子の供給を必要とするイネ科の牧草品種について、従来は育種家から提供される種子が少量のため、原原種子(第1世代)を増殖し、翌年その増殖種子をもとに原種子(第2世代)の増殖を行うため供給が遅れることが問題となっていました。これは、既存の播種機が安定的に播種できる最少能力が1kg/10a前後であり、それ以下での播種量では均一で安定的な播種が出来ず、その後の植生が不安定となり安定した採種量が得られないためでした。
しかし、近年一定量の種子を分解性のあるテープに被覆しテープごと埋設して播種するシーダーテープの技術が普及しており、熊本牧場・十勝牧場でも牧草の採種に利用する技術体系が確立しつつあります。
このため、当場においても採種もと種子の在庫が乏しいオーチャードグラス・アキミドリⅡの原原種子生産にシーダーテープを活用しました。


2.シーダーテープ利用の概要
(1)シーダーテープの特徴
シーダーテープを用いた場合、オーチャードグラスでは播種量50粒/mで従来のプランター播種の1/10の70g/10aの播種量となり、10倍の面積を播種出来ました。
播種機は既存のロータリーの後部に播種機を設置し、整地と播種を一工程で処理できるよう自場で製作しました。

(2)作業能率
・播種能力は30~40a/時間(2~3ha/日)
・補助者(テープの切断、テープの交換等)とオペレーターで2~3名の作業

リールに巻かれた状態

播種機による播種作業

越冬前(11月)の様子

翌6月下旬の様子

(例)オーチャードグラスの場合
  従来の種子増殖の流れ

1.公的育成期間(育種家種子)少量のもと種子の供給(1kg~2kg程度)

2.長野支場・(原原種子)もと種子の量により10a~20a程度で採種(10kg~20kg程度)

3.長野支場・(原種子)原原種子をもとに1ha~2haで採種(100kg~200kg程度)

  シーダーテープを利用した場合

1.公的育成期間(育種家種子)少量のもと種子の供給(1kg~2kg程度)

2.長野支場・(原原種子)もと種子の量により1ha~2haで採種(100kg~200kg程度)

※シーダーテープを利用した場合、一世代の短縮が可能