国産鶏の意義
国産鶏とは、基礎鶏を国内に持ち実用鶏(コマーシャル鶏)を半永久的に供給できる鶏群です。現在のシェアは卵用鶏で6%程度と云われています。このような背景で国産鶏の普及拡大に取り組むことの意義は次の3つに要約できると考えています。
1.我が国特有の消費ニーズ(生食など)への対応
岡崎牧場が実施した鶏卵アンケートでも消費者には実に多様なニーズがあります。例えば、新鮮、味、美しい卵殻、特定成分の強化、トレーサビリティ、品質保証制度、環境負荷の少ない鶏種などです。
国産鶏の改良を通じてこれらを少しずつ達成していくことは、多様なニーズに応えて行くことであり、我が国の食文化に豊かさをもたらす一助となります。
2.緊急時(鳥インフルエンザ発生など)にも一定量の供給確保
最近の外国での鳥インフルエンザ(AI)発生で現実味が出てきたテーマです。
岡崎牧場が推計した国産卵用種鶏の雌羽数は、原種鶏で3万羽程度と思われます。少なく見えるかも知れませんが、鶏の繁殖率(1母は1週間に1仔雌を生産、1年間では52倍)を考えれば、この原種鶏を使って連続生産すれば、1年後には150万羽の種鶏が生産できます。
これは現在の我が国1年間の種鶏導入羽数(国内生産+輸入、140万羽)を越えます。単純計算ではありますが、緊急時であっても時間をかければ羽数だけは何とかなる計算です。
3.蓄積された広範囲な養鶏技術の維持及び種の確保
養鶏は施設型農業で、適切な施設と生産資材と飼養管理マニュアルと一定の技術があれば、鶏卵肉が生産できます。
一方、基礎鶏の改良は、養鶏技術の集大成です。飼料や飼養管理、家畜衛生、更には生産資材に関する技術が確立していることを前提に長い年月をかけて遺伝的な改良を進めます。また、我が国に現存する貴重な品種を後代に伝えることは、国産鶏に携わる我々の使命の1つと思われます。
このように国産鶏を保有し、その改良を行うことは、それによって養鶏技術と人材を養うことでもあり、それは①で示した豊かな食文化の基礎にも繋がることだと思います。更に、貴重な遺伝資源を確保することは、生物多様性の維持や学術的研究にも役立ちます。
<参考>国産鶏を取り扱っている民間種鶏場