●有精卵と無精卵
A.1 雌鶏だけで産んだ卵は無精卵といって温めてもヒヨコはかえりません。一方、雄鶏と一緒にいる雌鶏が産んだ卵は、雌鶏と雄鶏が交尾して受精した卵で「有精卵」といって温めるとヒヨコがかえります。
A.2 ヒヨコになる卵(有精卵)にするには、雄鶏と雌鶏を同居させて交尾させて受精させることが必要です。雌鶏は受精しなくても卵を産むことが出来ますから、雄鶏を同居させて交尾させなければヒヨコならない卵(無精卵)を産みます。
また、雄鶏と雌鶏を同居させる理想的な羽数は、雄鶏1羽に対して雌鶏10〜15羽といわれています。
A.3 有精卵と無精卵との違いは、殻のついたままの状態ではわかりません。しかしながら、生卵を割ってみて、胚を見ればわかります。胚は黄身の上にある直径3〜4mmのうすい白い輪です。ここが育ってヒヨコになります。有精卵は無精卵よりもこの胚の部分がハッキリしており、大きくなっていることで見分けることが出来ます。
また、卵を割らずに知る方法としては、卵を温めて始めてから10日目頃に、卵の尖った方を下にして置いて、暗い部屋の中で上から光を当てることで有精卵と無精卵を見分けることが出来ます(検卵という)。有精卵は生きているので血管等が出来始めていますが、無精卵は卵全体が半透明なままで光を透過します。赤い殻の色の卵は白い色の卵より見分けにくいので、検卵する日を温め始めてから12〜14日頃に行うと、より見分けやすくなります。
A.4 一般のスーパーで売られている卵は、通常ヒヨコにならない無精卵ですが、たまに「有精卵とか表示されている卵は温めるとヒヨコになる可能性があります。
Q.5 卵を採る鶏舎の映像をテレビで見ますが、あそこにはメスしかいないので無精卵が毎日、産まれてくると考えてよいのですか?
A.5 有精卵は雄の精子が雌の卵と受精して出来るので、雌鶏だけで飼われていれば人工授精しない限り、無精卵しか産まれてきません。
● 養鶏の基礎的な話
Q.1 卵を採るニワトリと鶏肉にするニワトリは違うのですか?どういう種類ですか?
A.1 鶏には、卵を採ることを目的とした「卵用鶏(レイヤー)」と鶏肉として利用することを目的とした「肉用鶏(ブロイラー)」があります。
現在の卵用鶏や肉用鶏は、「いかに少ない飼料で、短期間に、多くの生産物を得るか」という目標の下に、鶏を長い年月をかけて何世代も交配させて品種改良の研究を積み重ねて作られました。従って、祖先は同じニワトリなのですが、何年もかけて卵をたくさん産む鶏ばかりを選んで作られたのが「卵用鶏(レイヤー)」といわれ、より早く大きく体重が増加するように選んで作られたのが「肉用鶏(ブロイラー)」です。また、体型もレイヤーは細身であり、ブロイラーは太っており、採卵鶏と肉用鶏は違うと言えます。
A.2 雌鶏の卵巣から成熟して卵黄となった卵胞が鶏の体内にある卵管内に排卵され、この卵管内を約24〜25時間かけて通過する間に、卵白、卵殻膜、卵殻が形成されて、完全な卵となって産卵(放卵)されます。
A.3 卵は肛門(総排泄腔)から出てきます。糞尿と出口がたまたま同じですが、体の中(肛門の直前)ではちゃんと別々の器官になっています。
A.4 鶏は毎日卵を産めるわけではありません。雌鶏の排卵から固い殻を持った卵が産まれてくるまで約24〜25時間かかりますので、1日に1個以上の卵は産めません。また、鶏が夜寝ているときは卵を産みません。このようなことから、数日間卵を産み続けた後は、1日または2、3日間産むのを休み、再び数日間卵を産み続けます。なお、このような産卵の周期は鶏の個体ごとに異なっています。
また、鶏は年をとるにつれて段々卵を産まなくなってしまいます。
A.5 品種にもよりますが、卵用鶏では年間約280個程度の卵を産みます。
A.6 現在の採卵鶏は、長い年月をかけて何世代も卵をたくさん産む鶏ばかりを選んで交配させる品種改良の研究を積み重ねて作られた鶏です。また、鶏が住んでいる鶏舎が、鶏が卵を毎日産むことができるよう鶏を飼う環境が整っているからです。
Q.7 ニワトリが家畜になったのはどこで、いつ頃のことですか?
A.7 家禽(きん)としての鶏は、人間が東南アジアに野生している野鶏を、四千年以上昔に飼いならして作り上げたものです。これら野鶏は、赤色(せきしょく)野鶏、セイロン野鶏、灰色野鶏、緑襟(あおえり)野鶏の4種類で、その中の赤色野鶏が現在の鶏の祖先だと考えられています。
A.8 日本に鶏が入ってきた正確な年代はわかりませんが、少なくとも二千年から三千年前に、東南アジアから中国を通って入ってきたのではないかといわれています。
そのころの鶏は古墳時代の埴輪などにその名残をみることができます。
A.9 養鶏の歴史はよくわかっていないというのが本当のようです。文献的には奈良時代に九州の筑後守が農民に猪と鶏の飼育を奨励しているという記述が「續日本記」にあるようです。さらに平安末期には30羽から50羽という数で飼育され、さらに鶏卵を販売する店もできたという記述(「大日本農功伝」)もあるようです。しかしながら、現在のように企業養鶏になったのは戦後のことです。
Q.10 原々種、原種、種鶏、実用鶏を分かりやすく説明してください。
A.10 原々種鶏; 生産性が高く病気に強い等、実用鶏を作るための基礎になる鶏です。
原種鶏; 原々種鶏から選ばれた能力の高い鶏で、実用鶏のおじいさん鶏、おばあさん鶏に当たります。
種鶏; 実用鶏のお父さん鶏、お母さん鶏に当たります。
実用鶏; コマーシャル(CM)鶏とも呼ばれ農家で飼育されている鶏です。
A.11 日本に輸入されているのは、原種、種鶏、実用鶏があります。このうち種鶏が最も多いです。
A.12 日本国内では、原々種、原種、種鶏、実用鶏全てを生産してます。このうち、羽数では実用鶏が最も多いです。
A.13 卵用鶏では94%が外国から鶏種を輸入しています。