独立行政法人
家畜改良センター奥羽牧場

家畜改良の推進、優良な種畜や飼料作物種苗の生産・供給等を通じて、我が国の畜産の発展と国民の豊かな食生活に貢献することを使命としています。

主な業務

市販の監視カメラを活用した分娩監視システムの構築

最終更新日 2023/03/17

市販の監視カメラを活用した分娩監視システムの構築について

今般、分娩監視を目的に市販の監視カメラを設置し、一定の成果を得ることができましたのでご紹介いたします。

監視カメラの設置に至る背景について

奥羽牧場では、春と秋に牛の交配を行っているため、夏と冬に牛の分娩が集中しています。
分娩時期になると、分娩牛舎に16個備えられた牛房に、分娩予定日順に牛が収容されていきます。
分娩牛舎の画像
分娩牛舎
牛は分娩房に1頭ずつ収容されますの画像
牛は分娩房に1頭ずつ収容されます
奥羽牧場ではこれまで、分娩予定日の近い牛が集中してしまい、分娩牛舎への牛の収容が間に合わなくなり、分娩牛舎から離れた繁殖牛舎で分娩が起こってしまう事例が発生してきました。群飼いである繁殖牛舎で分娩が起こる場合、発見の遅れによる分娩事故や、子牛の取り違えが生じる可能性があります。
繁殖牛舎の画像
繁殖牛舎
群飼いしていますの画像
群飼いしています
分娩時期の奥羽牧場では、担当職員が泊まり込みで夜間の分娩監視を行っています。
その際、繁殖牛舎で分娩が起こる可能性を考慮し、頻繁に分娩牛舎と繁殖牛舎を往来する必要があるため、職員の負担が大きくなっていました。
そのため今般、泊まり込み職員の負担軽減のため、監視カメラを繁殖牛舎に設置し、分娩牛舎から遠隔で繁殖牛舎の牛の様子を観察できるような体制を作ることとしました。

監視カメラのスペックや設置方法について

今般、設置するカメラに求めたスペックは以下の通りです。
① Wi-Fi等の電波により、遠隔でモニターに映像を映すことができる機能
② 耐寒機能
③ 夜間撮影機能

特に①の機能については、繁殖牛舎と分娩牛舎が約50m離れていること、及び牛舎の壁を通過する必要があることを踏まえ、なるべく遠くまで電波を飛ばすことが可能なものを求めた結果、スペック上200m先までWi-Fi電波を飛ばすことが可能なカメラを購入することとしました。

カメラは4つ購入し、分娩予定日が近い2つの牛房の全体が映るよう、下図の通り繁殖牛舎に設置しました。
繁殖牛舎俯瞰図の画像
カメラは、牛房間の柱に括り付けて設置しました。
カメラは牛房の間にある柱に括り付けています.pngの画像
東側カメラ.pngの画像
カメラ(アップ).jpgの画像

カメラの映像を映すモニターについて

繁殖牛舎に設置したカメラからの映像を受信するモニターは、分娩牛舎に設置しました。
牛舎間に距離があることと、壁を隔てている影響により、電波は減弱していますが、日中および夜間
のどちらについても、映像が良好であることを確認できました。
日中のモニターの様子の画像
日中のモニターの様子
夜間のモニターの様子の画像
夜間のモニターの様子

監視カメラを実際に運用してみて

現在、カメラを設置してからおよそ2ヶ月に及ぶ分娩期間を経たところで、カメラの映像により繁殖牛舎における分娩を感知することができた例が数件ありました。
また、夜間に発生した分娩についても、分娩牛舎に設置したモニター画面で確認することができました。
子牛の足が出ているところが確認できましたの画像
子牛の足が出ているところが確認できました
カメラ設置以降は、泊まり込み担当職員の負担軽減に繋がっただけではなく、日中においても分娩牛舎での作業に集中することができるようになりました。
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