調査研究
鶏の繁殖・保存技術
最終更新日 2017/05/25

牛や豚等の哺乳類と比較して、繁殖技術が立ち後れていた鶏について、家畜改良センターでは調査研究を実施し、平成17年に「鶏の繁殖技術マニュアル」を発行して繁殖技術の普及に努めると共に、各種研修生を受け入れて繁殖技術の伝達を実施しています。

凍結精液

鶏における凍結精液の利用は、凍結保護剤除去の手法が煩雑であること等、主として労力面から普及が遅れていました。家畜改良センターでは、凍結保護剤にメチルアセトアミドを用いる手法を開発し、大幅に凍結精液技術の簡便化を達成しました。

キメラ鶏の作出

キメラとは、2個以上の胚に由来する細胞集団から形成された個体を意味します。キメラが畜産分野に利用できるのは、生殖系列(精巣と卵巣)が置き換えられた場合(生殖系列キメラ)に限定されます。キメラは胚盤葉細胞もしくは始原生殖細胞から作出できます。これらの細胞を凍結することで永久保存も可能となり、卵をあまり産まない貴重品種を産卵率の高い品種を使って増産できる可能性があります。

凍結精液とキメラ鶏による鶏の復元

鶏の雄性遺伝資源は凍結精液として、また、雌性遺伝資源は胚盤葉細胞もしくは始原生殖細胞を凍結して保存することができます。いずれかの雌性遺伝資源を利用して、生殖系列キメラ鶏を作出し、凍結精液を用いて鶏を復元することが可能です(下図)。