調査研究
肉用牛の成長・食味の向上
最終更新日 2018/09/03
肉用牛の成長・食味の向上

現在、国内の多くの研究機関において、 黒毛和種 の優れた遺伝的能力をより効率的に改良するため、肉質や肉量に関与する遺伝子を明らかにするとともに、家畜の選抜(育種)に遺伝子情報を活用する取り組みが行われています。

黒毛和種に特有な「食味の良さ」を科学的に裏付け、改良に利用する取り組みも行っています。これまでの研究で、牛肉の食味・風味には、 脂肪酸組成 (特にオレイン酸)が影響することがわかってきました。家畜改良センターでは、ウシ第19番染色体上に存在するFASNFatty Acid Synthase:脂肪酸合成酵素)遺伝子のDNA配列の違い(遺伝子型)が、オレイン酸含有量に関係することを突き止めました(特許第4239032号)。

また、黒毛和種の食味に影響を及ぼす遺伝子を見つけるため、single nucleotide polymorphism SNP 一塩基多型 )を目印として、牛肉のそれぞれの 理化学分析項目 がどのSNPと一番関連しているかを調査しています。これらの情報を総合的に活用し、食味に優れた黒毛和種の効率的な改良を目指しています。

さらに、肉用牛においても繁殖能力を向上させるため、従来の手法によって繁殖性に優れた牛を選抜するとともに、SNPを指標とする上述の方法により繁殖障害を引き起こす遺伝性要因の解明と対応(選抜)にも取り組んでいます。