家畜の能力は、エサや水などの栄養状態、気温や畜舎など環境要因によるものと、両親から受け継いだ遺伝的な要因によって決定します。家畜改良センターでは、遺伝的要因に着目して、遺伝子情報による優良な家畜の作出、改良に活用するための研究に取り組んでいます。
泌乳量や成長能力などに関与する遺伝子を特定するには多くの時間と労力が必要となりますが、関与する遺伝子そのものが不明であっても、特定の遺伝子座のDNA配列の違いと生産性との間に有意な関係があれば、この情報を育種に利用することができます。
例えば、生産能力を支配している遺伝子座において、DNA配列の違いが特定できれば、この情報を用い、受精卵の段階で、しかも多数の受精卵について短時間で能力を判定することが可能となり、従来の後代検定のための施設規模、飼養頭数、時間が大幅に効率化されることが予想され(肉用牛では5年→2年半)、経済的効果も大きいと考えられます。また、能力の評価ができない幼若齢期での評価や性に偏った形質(繁殖性や産卵性など)の評価に、遺伝子情報はより効率的に利用できます。
食肉の軟らかさ、牛乳中の脂肪量あるいは家畜の成長速度などは、個体毎に異なりますが、その違いが連続的であり、数値として把握できます。このように数値として把握できる能力(形質)を「量的形質」といいます。
量的形質には、多数の遺伝子が関与し、それぞれの遺伝子のわずかな違いが合わさることによって、大きな違いを生じていると考えられています。
遺伝子の染色体上の位置を表す地図のことを染色体地図といいますが、地図上における遺伝子の位置のことを「遺伝子座」といいます。
同一生物種の間でDNA配列を比較したとき、ほとんどの部分では同じですが、個体間で違いのある部分が複数、散在します。こうした違いのある部分(多型)を目印にすることを「DNAマーカー」といいます。
多型には、いくつかの種類があり、ごく短い反復する配列の回数の違い(マイクロサテライト)や部分的な配列上の1カ所の違い(一塩基多型:SNP)をDNAマーカーとして使っています。
DNAマーカーは、個人を同定するための指標にもなることから、親子判定にも利用されています。
脂肪酸は、食品中に含まれる脂質(脂肪・油)の構成要素です。脂肪酸には、リノール酸をはじめ、オレイン酸、リノレン酸など十数種類あります。これらの含有量(比率)を脂肪酸組成といいます。