肉用牛

あいこ

最終更新日 2018/03/06

『あいこ』

母系図はこちら[PDFファイル:48.2KB]

「あいこ」は、(独)家畜改良センターを代表する繁殖雌牛で、これまでに肉用牛産肉能力平準化促進事業において後代検定済み優良種雄牛として輩出された「 勝忠福 」、「 光彦 」及び「 愛之国 」の母牛です。

本牛は、十勝牧場で平成14年3月7日に産まれ、平成16年4月7日に初子を生産して以後、人工授精、体内胚採取及び生体卵子吸引及び体外受精(OPU-IVP)による胚生産などにより、これまで、50頭を超える産子を生産しています。平成30年1月現在で満15歳となりますが、現在も体積、体伸、尻及び品位の高い輪郭を持ち、資質などに優れた体型をしており、衰えを見せません。

「あいこ」の母系は、島根県の彦右衛門蔓みつわ系を祖としています。当該系統の特徴である発育、体積、体伸、肋張、品位及び皮膚などの美点をよく引き継いでいます。十勝牧場が、この蔓牛に出会ったのは、平成9年8月に新冠町から十勝牧場に導入した「 ひみかねふく 」(「あいこ」の母)がきっかけとなっています。

「あいこ」の産子11頭の枝肉成績は、枝肉重の平均が532kg、ロース芯面積の平均が62.1㎠、BMS.No.の平均が9.0、上物率が100%と肉量及び肉質に優れた成績でした。これまでに、「あいこ」の息牛として、以下の種雄牛が後代検定済み優良種雄牛となっており、全国に精液が流通しています。

 (格付:A-5 BMS.10 枝重449kg)

父は、ロース芯面積や増体能力が高い「勝忠平」(黒原3800)です。
本牛は、現場後代検定で、去勢及び雌24頭の枝肉重量の平均が491kgと、特に枝肉重量に優れた能力を示しました。選抜時は、平準化事業の種雄牛中の枝肉重量について歴代2位の評価を得ました。全兄弟2頭の成績についても、A5BMS.No.10及び9、枝重604及び554kgの高いレベルにあり、脂肪交雑及び増体能力の改良に貢献が期待される種雄牛です。

父は、脂肪交雑能力が非常に高い「光平照」(黒14057:家畜改良センター産)です。
本牛は、体の伸びや腰の幅などを特徴とし、現場後代検定では、去勢及び雌28頭の平均が枝肉重量498kgと良好であり、特に去勢の平均は510kgと優れていました。また、脂肪交雑についてもBMS.No.の平均は7.7を記録し、4等級以上率は92.9%と質量兼備で安定しており、枝肉構成も良好なことから、良好な産肉性が期待される種雄牛です。ただし、IARS異常症の遺伝子を保因していることから、交配には十分注意が必要です。

父は、脂肪交雑及び増体能力が高く、全国で活躍中の「芳之国」(黒14203)です。
本牛は、体の伸びや尻、体上線の強さに特徴を持ち、現場後代検定では、去勢及び雌33頭の枝肉重量の平均が490kgで、特に去勢の平均が516kgと優れていました。また、ロース芯面積は平均63㎠と大きく、さらに、脂肪交雑についてもこれまでに類を見ないBMS.No.8.5を記録し、4等級以上率は97%など、脂肪交雑及び増体能力に優れた成績を得ました。脂肪交雑及び増体能力ともに優れた質量兼備の種雄牛として改良に貢献することが期待されています。なお、「愛之国」は、「芳之国」が保因するIARS異常症の遺伝子を取り除いた種雄牛です。
 
「あいこ」は、採胚及びOPU-IVP技術等を活用し、これまで54頭の産子を生産しており、10頭の後継牛が次世代の種雄牛生産に活躍しています。
十勝牧場では、「愛(之)国」」から「幸福」へ繋げられるよう、多様な育種素材を導入・活用しつつ優良な種畜を作出し、黒毛和種の育種改良や国内の肉用牛の振興に取り組んで参りますので、今後ともご支援・ご協力いただきますようお願いします。