鳥取牧場で現在、肉用牛の効率的かつ効果的な育種改良手法として取り組んでいるのは分割卵双子による検定手法の実用化です。
しかし分割卵では双子しか生産できませんし、双子を確実に生産することも相当困難です。そこで切断二分離といった方法のほかに割球分離法を用いて、OPU-IVF後早期に初期胚の透明帯を酵素により溶解させ、初期胚の割球をバラバラにします。その後、ピンホールを作成したシャーレにバラバラにした割球を等分に導入します(例えば16細胞期胚なら4細胞x4)。これにより一卵性三つ子以上を生産することが可能となり、クローン検定の精度の向上につながります。
もう一つの利点として、割球分離後移植した受精卵からの産子は登録が可能であり、種畜として利用することもできます。
この方法の現段階での問題点は、一卵性三つ子以上を生産するには様々な壁があり、割球分離後の各割球組が正常に発育すること、移植後全ての割球組が受胎すること、さらに全てが正常に生まれること、といった点です。