独立行政法人
家畜改良センター鳥取牧場

家畜改良の推進、優良な種畜や飼料作物種苗の生産・供給等を通じて、
我が国の畜産の発展と国民の豊かな食生活に貢献することを使命としています。

黒毛和種の一卵性双子の話(13回目)

【4】 一卵性双子と肥育

4-a-1.はじめに

 今回から一卵性双子の肥育試験での利用について考えてみます。

黒毛和種は肉用種で、牛肉の柔らかさやおいしさに関係の深い脂肪交雑が世界の牛の中でもよく入る品種とされており日本が世界に誇る牛です。

 しかし、黒毛和種だからといってどんな飼い方をしても脂肪交雑が入るわけではなく、繁殖農家、肥育農家の適切な飼養によってはじめて品種としての遺伝的特性が生きてきます。

 一般的に黒毛和種では肥育開始は8-10ケ月齢から、肥育終了・屠殺は28-32ケ月齢くらいです。できれば25ケ月齢くらいで終了し、もっと安いコストで生産性をあげたいところです。


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 肥育中は粗飼料と濃厚飼料の給与割合を肥育時期によって変える、など様々な工夫をして肉質および肉量の向上をはかろうとしています。
 このような肥育方法の試験を行うには一卵性双子がもってこいの材料となります。

 一般に脂肪交雑や増体は血統の影響が大きいため、肥育試験を行う場合はできるだけ血統を揃えて試験牛群をつくる必要があります。
 一卵性双子の2頭は遺伝的には全く同一ですので、血統の影響を考えずに比較試験を行えます。
 比較試験をみる前に、遺伝的に全く同一の一卵性双子を同じ条件で飼養あるいは肥育した場合、増体や枝肉成績は同じになるのかどうかをみてみたいと思います。

   (鳥取牧場業務課 小西一之)



 

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