4-b-1.増体や枝肉成績の相似性<1>
一卵性双子を同じ条件で飼養あるいは肥育した場合の増体や枝肉成績についての相似性調査の事例を示します。
黒毛和種の一卵性双子の話(14回目)
表4は鳥取牧場で行った一卵性双子3組を用いた肥育における相似性調査の結果です。
肥育期間のDGや胸最張筋の粗脂肪含量など多くの測定項目において双子組間では差がみられるものの双子組内(双子同士)では差が小さく、相似性が認められています(11)。
双子組・ 牛番号 |
肥育 期間 (月) |
屠殺 月齢 (月) |
肥育期間 DG (kg/日) |
枝肉 重量 (kg) |
枝肉格付 | 胸最長筋 粗脂肪含量 (%) |
|||||
胸最長 筋面積 (㎠) |
バラの 厚さ (㎝) |
皮下 脂肪厚 (㎝) |
歩留 基準値 |
BMS No |
BCS No |
||||||
A-1 A-2 |
19.8 19.8 |
26.4 26.4 |
0.80 0.80 |
418 427 |
44 46 |
7.9 7.2 |
2.6 3.5 |
72.8 71.7 |
4 3 |
4 4 |
20.4 19.9 |
B-1 B-2 |
17.2 17.2 |
26.1 26.1 |
0.72 0.76 |
418 428 |
38 36 |
7.1 7.3 |
1.6 2.0 |
72.5 71.8 |
3 3 |
4 4 |
20.9 22.7 |
C-1 C-2 |
15.7 15.7 |
24.9 24.9 |
0.97 0.98 |
445 470 |
43 47 |
7.4 7.9 |
1.9 1.8 |
72.7 73.3 |
3 3 |
3 3 |
18.0 17.6 |
写真1
枝肉:頭、四肢の先端と尾、皮、内蔵を取り除いたものを枝肉といいます。脊柱を縦断して2分割したものは半丸です(写真1参照)。右半丸と左半丸で1頭分 です。半丸の枝肉 一般的な方法で肥育された黒毛和種(去勢)の枝肉重量は生体時重量の62-63%とみられます。枝肉格付:枝肉を肉量と肉質の両面からランク付けを行ないます。牛は通常13本の肋骨があ りますが、左半丸の首の方から数えて6番目と7番目の肋骨の間を椎骨の方に水平に切り開くと図のような切開面が現れます(写真2参照、写真1も参照)。
この切開面にあるロ-ス芯(胸最長筋)の面積(写真2のA)、皮下脂肪の厚さ(写真2のB)、バラの厚さ(写真2のC)と枝肉重量をもとに、この枝肉から実際にどの程度の部分肉(枝肉から骨、腎臓脂肪や余分な皮下脂肪、鍵などを除いたもの)がとれるかを推定します(歩留基準値)。
肉量の格付は歩留基準値をもとにA、B、Cの3段階に分けます。
また、ロ-ス芯をみて脂肪交雑(BMS)、肉色(BCS)、脂肪の色(BFC)などを評価し肉質の格付けを行います。
写真2
肉色(BCS)、脂肪の色(BFC):いずれも色の薄い方から濃い方へ1から7の7段階で表します。肉色では3から5、脂肪の色は1から4が良いとされています。
肉質の格付けは脂肪交雑や肉の色沢など4項目の評価をもとにして最終的には1から5の5段階評価をします。肉量も肉質も最優良とされた枝肉はA-5と格付けされることになります。
(鳥取牧場業務課 小西一之)