独立行政法人
家畜改良センター鳥取牧場

家畜改良の推進、優良な種畜や飼料作物種苗の生産・供給等を通じて、
我が国の畜産の発展と国民の豊かな食生活に貢献することを使命としています。

黒毛和種の一卵性双子の話(2回目)

1-b-1.一卵性双子の作り方 <1>

鳥取牧場など家畜改良センタ-の肉用牛牧場では、一卵性双子を受精卵移植を用いて人為的に作っています。その方法を簡単に説明します。
 牛は普通1回の発情で1個排卵しますが、ここでは、たくさんの受精卵※を得るために、卵胞をたくさん作るホルモン と発情を起こさせるホルモンを投与して一度にたくさん排卵させます(過剰排卵処理といいます)。この時、人工授精を行ないます。人工授精をしてから7日目くらいに子宮を洗うと受精卵※を得ることができます。この受精卵を顕微鏡下で微細な刃を用いて2等            分し、それを受卵牛(借り腹牛)に移植します。2頭の受卵牛に1/2胚※ずつ(1つの受精卵を2つに切ったうちの1つを1/2胚ということにします)移植する場合と1/2胚*2コを1頭の受卵牛 に移植する場合とがあります(図1)。
 現在の技術レベルでは、10個の良質な受精卵を2等分して、図1のように移植すると元気な一卵性双子が平均的に1組得られます(2)。
 ※:受精卵は学術用語で胚といいますが、一般には受精卵の方がなじみがあると思いますので、この連載では受精卵という言葉を主に用いることにします。1/2胚の時だけ胚という言葉を用いることにします。
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(鳥取牧場業務課 小西一之)
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