独立行政法人
家畜改良センター鳥取牧場

家畜改良の推進、優良な種畜や飼料作物種苗の生産・供給等を通じて、
我が国の畜産の発展と国民の豊かな食生活に貢献することを使命としています。

黒毛和種の一卵性双子の話(4回目)

1-b-3.一卵性双子の作り方 <3>
写真1の画像
写真1

 前回(1-b-2)の体外受精では食肉処理場から得られた卵巣が材料でしたが、OPU(Ovum Pick Up、卵子吸引)とよばれる方法で生きた牛から未受精卵を得ることもできるようになってきています。OPUでは超音波診断装置※(写真 1)のプロ-ブ※※(写真2-3)を膣内に挿入し、超音波の画像(写真4)を見ながら吸引用の針で卵巣の卵胞から卵子(未受精卵)を採取します(写真5)。1回の処置で数個から十数個の未受精卵が得られ、この未受精卵を用いて前回述べた体外受精の方法で一卵性双子を作ります。鳥取牧場ではこの方法で既に2組の一卵性双子ができています(4)。OPUは週に1回程度の割合で継続的に行うことができ、産肉能力が高く良い牛にもかかわらず、子宮等に異常があり子供が産めなくなった牛や1-b-1で述べた過剰排卵させるためのホルモンに反応しない牛に適用しています。
写真2の画像
写真2
写真3の画像
写真3
写真4の画像
写真4
※:超音波を用いて(体や物体の)内部を調べる装置。人では妊娠診断や肝臓の検査など様々なことに使われています。牛でも専用の装置があり、生殖器などの検査や妊娠診断、生きたままでの肉質の診断にも用いられています。

※※: 超音波診断装置にとりつける探索子。超音波を発信し、体の内部にあたり反射してくる超音波を受け取ります。用途によって、形状が異なり、今回のOPUでは40-50cmくらいの細長い形をしており、先端に超音波の発信・受信を行う部分が取り付けられています。また、OPUではこのプロ-ブに卵子吸引用の長い針も取り付けられています。   


(鳥取牧場業務課 小西一之)
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