独立行政法人
家畜改良センター鳥取牧場

家畜改良の推進、優良な種畜や飼料作物種苗の生産・供給等を通じて、
我が国の畜産の発展と国民の豊かな食生活に貢献することを使命としています。

黒毛和種の一卵性双子の話(7回目)

2-a-3.相似性<3>

 一卵性双子については遺伝的に全く同一ですので、元来顔にしても発育などにしても似ていて当然と考えてしまいます。

 一卵性双子を誕生から同じ牛群で育て、疾病なども無かった場合、体重や体高は同じように増加していくでしょう。このようなとき、この2頭だけを取り上げて一卵性双子は相似性がある、と言ってしまいそうです。

 確かに似ているでしょうが、健康に育てば体重や体高は個体によって極端に差が出ることは少ないので、同じ牛群の同じような時期に生まれた任意の2頭の発育を比べてみてもやはり双子と同じような増加をしているのではないでしょうか。


PICT00150001の画像
 発育など数値で表されるものについて一卵性双子内で相似性があるということを正確に調べるために次のような統計学上の方法が考えられます。

 多くの一卵性双子を用意して、例えば体重ならば、双子組内-つまり双子2頭間の体重差(双子組内の差)と、双子組間の差(他の双子組との差)を求め、体重差のバラツキの程度が双子組内の差の方が双子組間の差よりも統計的に有意に小さければ一卵性双子に相似性がある(つまり双子同士は他の個体より似ている)と言うことができるという方法です。

 このことについては約50年くらい前にニュ-ジ-ランドで試験がなされ、乳量や乳成分、発育などをはじめとして多くの形質について乳用牛や肉用牛の一卵性双子でどの程度似ているかが調べられています(6)。(なお、最近これらの報告の一部が訳されて紹介されています。(「一卵性双子の相似性調査」畜産技術協会、2000年))

 われわれもこの方法により黒毛和種の生時体重や発育について双子の相似性を調べています(7)。


(鳥取牧場業務課 小西一之)

このページの先頭へ