独立行政法人
家畜改良センター鳥取牧場

家畜改良の推進、優良な種畜や飼料作物種苗の生産・供給等を通じて、
我が国の畜産の発展と国民の豊かな食生活に貢献することを使命としています。

黒毛和種の一卵性双子の話(9回目)

2-a-4-2.相似性<5>

 牛では繁殖に関する形質は一般的に遺伝率が低いといわれています。

これは、繁殖に関するは形質は初回種付月齢、分娩間隔など長い期間観察されたあとに結果が出てくるものが多く、そのため飼養環境の影響を受けやすいためとも思われます。
DSC02766の画像
 牛の受精卵移植では、受精卵を採取するにあたり 過剰排卵処理(過剰排卵(卵巣から多く排卵させる)と人為的に発情を促すホルモン剤の投与)を行い、発情後人工授精を施し約7日目に子宮を洗うことにより受精卵を得ます。

 過剰排卵処理を行う牛の月齢や状態、飼養管理、ホルモンの量や投与方法、子宮を洗う術者の技術など様々な要因が絡み、排卵数・採取される受精卵の数・受精卵の質は過剰排卵処理して子宮を洗うたびに異なり、遺伝的な要因がどの程度関与するのかわかりませんでした。


 そこで、一卵性双子を用いて試験をしてみました。

 一卵性双子3組を用いて、生まれてから過剰排卵処理ができる月齢まで同じ牛群で飼養し、過剰排卵処理の開始時期や方法、採卵日、子宮を洗う術者まで3組とも同じにし、採卵成績を調べました。

 その結果を次回にお示しします(7)。    


(鳥取牧場業務課 小西一之)
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