飼育方法

軍鶏の飼養管理

最終更新日 2023/03/31
軍鶏は全国の地鶏や銘柄鶏の生産に多く利用されている品種ですが、各地の公的機関や民間の養鶏場で飼養されているものの、飼養環境や方法が様々であるため、参考となる情報が少ないのが現状です。そこで、このページでは兵庫牧場における軍鶏等(種鶏)の飼養管理実績や、軍鶏を管理するうえでの工夫について紹介します。

    基本的な飼養管理方法については、こちらをご覧ください。

 飼育方法

    公的機関における軍鶏の飼養状況については、こちらをご覧ください。

 軍鶏の飼養管理に関するアンケート調査結果(令和1~2年度調査まとめ)

    軍鶏の飼養管理等に関する情報交換会については、こちらをご覧ください。

 軍鶏の飼養管理等に関する情報交換会

兵庫牧場における軍鶏等(種鶏)の飼養管理実績
兵庫牧場で飼養している軍鶏等
飼養環境
※写真には軍鶏以外の系統も映っています
体重・給餌量
831系統については過食を防ぐ程度の緩やかな制限給餌を行っているため、参考給餌量をもとに過去の体重と比較しながら給餌量を調節しています。833系統および834系統については、餌付けから一定の期間は飽食(自由給餌)で飼い、体重を測定した後に制限給餌を開始しています。

    制限給餌に関する詳細についてはこちらをご覧ください。

 肉用種鶏の制限給餌

※834系統は軍鶏と赤色コーニッシュとの合成鶏
※測定方法等に統一性がない部分については表示していません
産卵率
※834系統は軍鶏と赤色コーニッシュとの合成鶏
受精率・ふ化率
育成率・生存率
軍鶏の飼養管理における工夫の紹介
軍鶏の性質
軍鶏はもともと闘鶏用として改良された品種であり、ほかの品種に比べて闘争心が強いという性質があります。また、音や光など外部からの刺激に敏感に反応して騒ぎ立てる喧噪性も強い傾向にあります。これらの性質は、鶏同士のケンカによる怪我だけでなく、悪癖(注)の発生や圧死などの事故につながることもあり、生産性を低下させる要因になります。さらに、飼養者が攻撃されて怪我をしてしまう危険もあるので、特に注意を払う必要があります。
 
そこで、軍鶏の性質を考慮したうえで安全に管理していく工夫をいくつか紹介します(兵庫牧場で実施していない内容も含みます)。
 
●注:悪癖(カニバリズム)
養鶏においては主に「つつき」のことを指します。尻をつついたり、羽をむしり取ったりする行動ですが、激化するとつつかれた鶏が死亡してしまう場合があります。
雄を優先する
自然交配をさせるために雌雄を同じ部屋で飼う場合は、雌よりも先に雄を部屋の中に入れておくようにします。すると、先に入っていた雄の方が後から入ってくる雌よりも優位に立つことができるため(先住効果)、雄が雌に負けてしまって交尾ができないといった状態を避けることができます。
群れの構成を変えない
ひとつの部屋で飼っている群れの構成(メンバー)を変えると、順位付けのための闘争が起こることで鶏が傷ついてしまいます。そこで、なるべく群れの構成を変えずに飼うことで、闘争が起こるのを防ぐことができます。
雄のケヅメの成長を止める
雄は成長とともにケヅメが生えてくるため、ケヅメによってほかの鶏や飼養者が怪我をする危険があります。そこで、ヒナのうちにケヅメが生える部分の成長を止め、伸びるのを防ぐ方法があります。なお、ケヅメが生える部分はふ化したばかりのヒナでも判別できます。
 
■はんだごてを使用する方法
  1. 安全のため、はんだごては台などに固定しておきます。また、手元を安定させるため、腕を支える台なども準備しておきます。
  2. ケヅメ以外の部分がはんだごてに当たらないように、ヒナをしっかりと保定します。
  3. はんだごての先にケヅメの部分を正確に当て、すぐに離します。正しく当たると、「プチ」とはじけるような小さな音がします。
■注意点
  • ヒナが成長するにつれ、ヒナにかかる負担が大きくなっていくので、できるだけ早い時期に行うようにします。
  • ヒナが動かないようにしっかりと保定することが重要ですが、強くつかんだり、脚を無理な方向に曲げたりしないようにします。
  • はんだごての先に当てるときは、長い時間当てたり、強く(深く)押し付けたりしないようにします。
  • はんだごてで火傷をしないように、十分に注意してください。
ビークトリミング(デビーク)
ビークトリミングとは、鶏のくちばしの先端を専用の機械(デビーカー)で切断することです。ビークトリミングをすることによりくちばしの先端が丸くなるため、つつきによる怪我を防止することができます。
その他
  • 適切な温度・湿度・飼養密度を保ち、鶏のストレスを低減させる
  • 鶏舎内を明るくしすぎない
  • 止まり木などを設置して、逃げる場所を作る
  • つつきをする鶏や怪我をした鶏を隔離する
  • 急に大きな音を立てない、突発的な動作をしない
  • 鶏が興味を持つ物(おもちゃ)を置き、つつく対象とする など
 参考文献
田先威和夫・山田行雄・森田琢磨・田中克英編著『新編養鶏ハンドブック』(養賢堂、1982年)
古瀬充宏編集『ニワトリの科学』(朝倉書店、2014年)
三村耕編著『家畜行動学改訂版』(養賢堂、1997年)
NBI/ZENOAQ技術委員会編『養鶏基本用語集』(日本畜産振興会、2018年)
公益社団法人畜産技術協会『アニマルウェルフェアの考え方に対応したブロイラーの飼養管理指針(第6版)』(2020年3月)
公益社団法人畜産技術協会『アニマルウェルフェアの考え方に対応した採卵鶏の飼養管理指針(第5版)』(2020年3月)
 
 
【免責事項】
下記『免責事項』をご確認ください。
 
【お問い合わせ先】
家畜改良センター兵庫牧場 業務課
TEL:0791-66-0801 FAX:0791-66-0803