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人工授精の利点と欠点

 最終更新日 2021/06/23

豚を含め、家畜の交配は、人工授精で行うのが一般的です。人工授精の利点と欠点などは、以下のとおりです。

●利点

  • 種畜の高度利用:1回の射出精液を希釈することで多数の雌に授精でき、凍結することで半永久的に保存ができる。
  • 家畜改良の促進:優秀な雄の遺伝形質が急速に広範囲に広がる。
  • 遺伝能力の早期判定:短期間に多数の雌に交配できるので、雄の能力が早く分かる。
  • 受胎率の向上:正常な精液のみを使用。凍結精液利用により夏季の精液性状の劣化を防ぐ。1発情に2回以上の授精が可能。
  • 自然交配の不可能な家畜への応用:老齢、交尾欲欠如、後肢損傷。
  • 精液の遠距離輸送:家畜を移動させるより容易。
  • 雄の飼養に要する経費の削減:優秀な雄畜のみを組織的に集中管理することができるので、スペース、経費、労力の節減が可能。
  • 伝染性疾病の予防:交尾により生殖器病に感染する可能性を軽減できる。
  • 遺伝資源の保存:希少動物、受精卵。

●欠点

  • 1回の種付けに時間がかかる:自然交配よりも精液準備や溶解などに時間がかかる。ただし、精液購入の場合、自然交配よりも手間が掛らない。
  • 自然交配よりも被害が拡大する可能性:雄の遺伝形質が不良な場合、精液中に伝染病の病原が含まれる場合がある。
  • 生殖器伝染病のまん延を助長したり、生殖器粘膜を損傷することがある:器具類の消毒や洗浄の不注意、技術の未熟さなどから。
  • 精液を間違えて処理したり、注入する可能性:不正もありえる。

●制限

  • 家畜人工授精者の制限
    獣医師又は家畜人工授精師が行う。ただし、これ以外の者でも、学術研究又は自ら飼養する雄から採取処理を行うことや、精液を購入して自ら飼養する雌へ注入することは可能。
  • 家畜人工授精用精液を採取する場所の制限
    家畜人工授精所、家畜保健衛生所、家畜人工授精を行うために国又は都道府県の開設する施設で採取。