飼料生産・環境対策

アルファルファの栽培

最終更新日 2021/10/20
はじめに
中央アジア原産のマメ科牧草であるアルファルファ(ルーサン)は、タンパク及びミネラル含量が多く、嗜好性に優れた特性を持っています。このため、乳用牛に給与すると発育の向上や高泌乳が期待できることから、岩手牧場では昭和58年から生産に取り組み、令和3年度現在、約80haのほ場に作付けしています。
 アルファルファは乾燥土壌を好み、湿害に弱い草種であるため、土壌が湿潤で酸性傾向にある日本では栽培管理が難しいとのイメージがありますが、栽培条件を整え、適正管理することで安定的な収量の確保が図れます。
岩手牧場の栽培管理
1.草地更新時
・湿害を回避するため、プラウで深耕を行い排水条件を整えています。
・酸性土壌を中性土壌にするため、土壌改良資材や熔成燐肥等でpH矯正を行っています。
・雑草競合に弱いため、起土前にグリホサート剤による前植生除去を行い、砕土・整地後も発生した雑草にグリホサート剤を散布しています。
2.播種
・種子はアルファルファ単播ではなくオーチャードグラス種子を加えて混播しています。オーチャードグラスを混播することにより収量性が向上し、雑草が抑制されます。また、サイレージ調製時(乳酸発酵時)には糖含量の少ないアルファルファに代わり糖補填を行います。
・アルファルファ種子には根粒菌を接種し、空中窒素の固定による乾物収量の増産を図
っています。
3.定着後の管理
・施肥は早春及び各刈り取り後に行いますが、アルファルファは空中窒素を取り込むため、硝酸態窒素が過剰とならないよう肥料中の窒素含量は抑制気味にしています。なお、窒素成分を全く施肥しないとイネ科牧草が生長不良となるので、生育状態を見て施肥量を調整しています。
・土壌環境を維持するため、土壌改良資材等は適宜散布しています。
・ほ場で発生する雑草(主にギシギシ)はハーモニー75DF水和剤で防除しています。
4.収穫
・着蕾期を迎える6月上旬に1番草の収穫を開始し、以降の再生草の刈取りは40~50日間隔で行っています。
・モアコンディショナーで刈取り後、葉部の脱落に気を配りつつ水分調整を行い、フォーレージハーベスターで細断し、サイレージに調製しています。
造成時(耕起)
チューブバックサイレージの調製
品種について
実証圃場
草姿近影
 
過去には愛知県総合農試育成の「タチワカバ」、旧北海道農業試験場育成の「ヒサワカバ」、「マキワカバ」を主に使用してきましたが、現在は「タチワカバ」の後継品種である「ネオタチワカバ」を主に栽培しています。