家畜改良

広域後代検定とは

最終更新日 2019/04/12
目的

 我が国における肉用牛の種雄牛造成については、これまで都道府県(以下、「県」という。)を単位として改良事業が実施されてきたところであり、検定済種雄牛の精液はそれぞれの県が、県内の繁殖農家等へ供給していました。しかしながら、各県における後代検定の実施頭数は、年々減少する傾向がみられ、県毎に独立した後代検定の実施及び選抜では優良種雄牛の確保は難しい状況となってきたため、国は平成11年度から広域後代検定を開始しました。これは、県域を越えた広範囲な地域での種雄牛造成を進め、育種改良上必要な種雄牛の精液については、県域を越えたグループ内の県を主体に共同利用する体制を整備することを目的としています。

広域化のメリット

 県毎の改良から広域化を図ることにより、より多くの候補種雄牛から共同で利用する種雄牛(以下、「共同利用種雄牛」という。)を選抜するため、能力の高い種雄牛が選抜できます。また、毎年新しい種雄牛が多くの県から順次作出されるため、利用できる種雄牛に幅ができ、特定の種雄牛への集中利用の緩和や、近交度上昇の回避ができるものと考えております。さらに、これまで各県等毎に実施していた遺伝的能力評価では、全国レベルでの能力は不明確でありましたが、広域的に評価することにより全国レベルに近い能力と、改良の効果を把握することができます。

広域後代検定の具体的な内容

 広域後代検定は、現在全国20の道県(以下、「広域参加県」という。)の参加により実施しています(長野県は休止中)。

(1)後代検定牛の選定
 まず、広域参加県において、計画交配により候補種雄牛を生産し、原則として、直接検定を実施した上で、検定済種雄牛の中から後代検定牛を選定します。

(2)後代検定の実施
 広域参加県は、選定した後代検定牛についての調整交配(調査牛を取得するための交配)計画及び調査牛の配置計画(後代検定実施計画)を作成し、家畜改良センターへ提出します。家畜改良センターは各県から提出のあった計画をまとめて「調整交配計画及び調査牛の配置計画」を作成、通知しています。広域参加県はこれに基づき、後代検定を進めています。

(3)能力評価の実施
 広域参加県は、後代検定の実施後結果を取りまとめ、家畜改良センターへ報告し、家畜改良センターではこれらを基に遺伝的能力評価を実施します。能力評価については、学識経験者等を参集し、手法については広域後代検定肉用牛評価技術検討会(家畜改良センター主催)において検討し、分析結果については肉用牛改良専門委員会(農林水産省、家畜改良センターの共催)において承認後、各県へ評価結果を報告しています。

(4)精液の利用
 肉用牛改良専門委員会において「共同利用種雄牛の選定方針」に基づいて、能力評価結果等を参考に改良推奨牛が選定され、広域参加県に対する改良推奨牛の精液利用希望調査結果を参考に、農林水産省が共同利用種雄牛を選定しています。家畜改良センターは、選定された共同利用種雄牛について、精液の利用希望調査結果を基に配布本数等を調整した上で、「共同利用種雄牛精液配布計画書」作成します。各県への精液の配布は、この計画書に基づき家畜改良事業団が実施しています。精液の利用に当たっては、基本的には種雄牛造成や県内の雌牛群の改良のために利用することとなっており、精液の提供を受けた県については、毎年精液とその精液により生産された子牛の利用状況について報告を行うことになっています。

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