家畜改良

評価形質:難産率

最終更新日 2024/02/13

 難産率の評価値は、遺伝的に「難産」が生じる可能性について"産子難産率"と"娘牛難産率"の2つの評価値を確率(%)で表示しています。
 産子難産率は、種雄牛Aを交配し受胎した雌牛が分娩する際に難産になるかどうかを表し、娘牛難産率は、種雄牛Aの娘牛が分娩する際に難産になるかどうかを表しています。

分娩難易記録とスコアの関係

 難産率の遺伝評価は、牛群検定で収集される分娩難易の記録を用いて行います。牛群検定では、下記の定義によりスコア1~5の5段階スコアで収集されていますが、各スコア間の区別に曖昧な部分があることから、難産率の遺伝評価においてはスコア1と2をひとまとめにして「問題なし」、スコア3~5を「難産」とした2区分に再分類した閾値データとして評価を行っています。

 スコアの定義
スコア 定義
1 自然分娩 問題なし
2 ごく軽い分娩介助
3 2~3人を必要とした助産 難産
4 数人を必要とした難産
5 外科処置または母牛死亡
データの範囲

 2004年以降の牛群検定記録で、以下の条件を満たすもの。

a.    本牛の品種がホルスタイン種又は交雑種でかつ、母方祖父牛が明らか

b.   本牛の品種がホルスタイン種の場合、父牛が明らか

c.    授精日記録が明らかでかつ、妊娠期間が250310日であること

d.   母牛の分娩時月齢が、初産分娩1835カ月齢、2産分3055カ月齢、34275カ月齢、45490カ月齢、566105カ月齢の分娩記録

e.    産子の性別が判明。

f.     単子分娩記録(死産および受精卵移植でない)

g.    同一管理グループ(牛群・出生(2年毎にグループ))に同期牛が5頭以上存在すること

h.   同一牛群内で分娩難易スコア1又は2に極端に偏っている牛群の記録は分析から除外

評価方法
単形質直接・母性効果モデル

 y hyBYS+PA+SX+mpe+dg+mge

 ただし、

y Snellスコア変換後の分娩難易スコア(0~100%)
hy 牛群・出生年(2年毎にグループ化)の効果(変量効果)
BYS 地域(北海道と都府県)・出生年・季節の効果(母数効果)
PA 母牛の産次・分娩時月齢の効果(母数効果)
SX 性別・品種(ホルスタイン種又は交雑種)の効果(母数効果)
mpe 母性恒久的環境効果(変量効果)
dg 直接遺伝効果(変量効果)
mg 母性遺伝効果(変量効果)
e 残差(変量効果)
遺伝率
産子難産率 0.010
娘牛難産率 0.005

 2024-2月より採用

遺伝ベース

 5年毎に移動するステップワイズ方式とし、2025年までの評価は2015年生まれの雌牛の産子難産率(直接遺伝効果)・娘牛難産率(母性遺伝効果)の平均育種価を7%として表します。