優良品種をいち早く市場へ
最終更新日 2017/03/30

2008年(平成20年)は、原油価格の高騰に伴い、食料品やガソリン価格の高騰により日本全体が大きな影響を受けましたが、畜産の分野でも輸入飼料や肥料の価格が高騰し、大きな影響を受けました。そこで、畜産農家の間では、家畜のえさを輸入飼料に頼っている現在の飼育方法を見直し、放牧を積極的に利用しようという考え方が広まりつつあります。
私たち家畜改良センター長野牧場は、こういった畜産農家のニーズに応えるために、放牧に利用できる優良な牧草の種子が少しでも早く市場に流通するように「ペレニアルライグラス」という牧草の「新品種」について試験採種を行っています。
現在試験を行っているのは、山梨県酪農試験場で新しく育成された「ペレニアルライグラス」の「八ヶ岳T-24号」という品種**注です。ペレニラルライグラスは家畜に給与可能なもの、不可能なものとがあります。給与不可能のものはゴルフ場のターフグラウンドなどに利用されますが、給与可能なものは再生力が強く家畜が好んで食べるため、放牧地での利用に適し、日本では北海道や本州の高標高地の牧草地で利用されています。
今回試験を行っている「八ヶ岳T-24号」は、ペレニアルライグラスの「夏の高温に弱い」という弱点を改良したものです。畜産での放牧の役割は今後益々高まっていくと考えられ、山梨県酪農試験場からはこれまでにも「ヤツユタカ」、「ヤツカゼ2」など優良なペレニアルライグラスの品種が育成されています。
私たち家畜改良センター長野牧場は、今後も新品種の育成機関と協力しながら畜産農家の方のニーズを正確に把握し、現在必要とされている牧草や今後重要になってくると考えられる牧草の種子が少しでも早く市場に流通するよう、優良な牧草の種子の試験採種などを確実に行っていきたいと考えています。
**注:八ヶ岳T-24号は新品種登録の審査中であり、厳密には現段階では「品種」ではなく「系統」です。

山梨県酪農試験場ホームページへ

新品種の栽培地(佐久こまば学園様の北側)

現在の様子。厳しい寒さにもじっと耐えます。