トウモロコシほ場におけるクマ侵入防止対策
最終更新日 2023/03/16
 

 家畜改良センター新冠牧場では、様々な侵入防止対策を講じ、クマによる飼料用トウモロコシの食害を最小限に抑える取組を行っています。

対策Ⅰ:様々な簡易電気牧柵設置の取組み

 新冠牧場では、これまでトウモロコシほ場周囲に張る簡易電気牧柵は5段張りで設置していましたが、令和2年度には5段張り電気牧柵の外側に1段張りの電気牧柵を張る「2重電気牧柵」、令和3年度は5段張りの外側に1段張りを二重に張る「3重電気牧柵」に挑戦しました。

(左)実際の「2重電気牧柵(5段+外側1段)」の写真
(右)実際の「3重電気牧柵(5段+外側1段+外側1段)」の写真


 一般的に電気牧柵の張り方は、1重電気牧柵(3段)または1重電気牧柵(4段)となりますが、その効果を比較するために、新冠牧場では令和4年度に「2重電気牧柵(4段+外側1段)」と「1重電気牧柵(4段)」の2パターンの対策の比較を行いました。
 特にクマの掘り返し防止のためには一番下の電気牧柵の地面からの高さが重要であり、クマの手が入りにくいとされる25㎝に設定しました。

 
 
 
 
 
 
 
一般的なトウモロコシほ場で行われている
「1重電気牧柵(3段)」のイメージ図

比較した「2重電気牧柵(4段+外側1段)」と「1重電気牧柵(4段)」のイメージ図


 ドローンで上空からトウモロコシほ場を撮影したところ、クマによる食害程度(黒い塗つぶし箇所)に大きな差がありました。

(左)「2重電気牧柵(4段+外側1段)」ほ場の食害状況(ほ場面積の0.7%)
(右)「1重電気牧柵(4段)」ほ場の食害状況(ほ場面積の11.4%)


 尚、赤外線カメラを設置したところ、「2重電気牧柵(4段+外側1段」の外側1段の電気牧柵に鼻先が触れてクマが逃げていく様子が映っていました。

 

対策Ⅱ.忌避剤の散布

 対策Ⅰの簡易電気牧柵に加えて、動力噴霧器を使用し、電気牧柵下に市販の忌避剤(クマ・シカ用)を2週間に1回の頻度で散布しました。

対策Ⅲ.獣害ブザーの設置

 さらに、赤外線センサーで動物の動きを感知して音と光で威嚇する市販の獣害ブザーを電気牧柵周囲に等間隔に設置しました。獣害ブザーは広い範囲で野生動物を感知するように、ㇵの字に背中合わせで固定しました。

対策Ⅰ~Ⅲの組み合わせによる侵入防止効果

 「3重電気牧柵(5段+外側1段+外側1段)」に忌避剤と獣害ブザーの3つの対策、「2重電気牧柵(4段+外側1段)」に忌避剤と獣害ブザーの3つの対策を講じたトウモロコシほ場については、どちらも栽培期間中クマの侵入は一度も確認されませんでした。

(左)「3重電気牧柵(5段+外側1段+外側1段)」に忌避剤、獣害ブザーの3つの対策を講じたトウモロコシほ場
(右)「2重電気牧柵(4段+外側1段)」に忌避剤、獣害ブザーの3つの対策を講じたトウモロコシほ場