ミニ講座2:外部形質と内部形質
前回のミニ講座1では卵質と優れた卵の条件についてご紹介しました。今回は、外部形質と内部形質の詳しい内容、重要性等についてご紹介します。
Ⅰ.外部形質
 1.卵殻強度について
産卵された卵が消費者の手に渡るまでには、選別、洗卵や輸送等の要因によって卵殻の破損が起こります。これによる損失は養鶏産業にとって大変大きな問題の一つです。
卵殻の強さは、遺伝的に強く支配されており、育種により改良可能です。望ましいのは、3.0kg/c㎡以上であると言われています。卵殻の強さに最も影響する栄養分はカルシウムです。ニワトリがカルシウムを摂取して消化されるとリンと結びつくか、フリーのカルシウムとして卵殻形成に利用されます。または、骨に貯えられ、利用されなかったものは排泄されます。
一般的に、飼料中のカルシウム含量が高くなるにつれて、卵殻は強くなります。しかし、高すぎると産卵率が低下します。また、卵殻強度は、呼吸器等の病気に感染した場合や、ニワトリの日齢が進むにつれて代謝の不調からか低下することが多いようです。
(写真:卵殻強度の測定)
 2.卵殻色について
日本で流通している卵の過半数以上は白色ですが、最近では褐色卵の需要も高まってきています。岡崎牧場でも、卵殻色の明度や色度を調べることによって褐色卵としての特徴を数値として明確にするために検査を行っています。
(写真左:卵殻色を測定する器械、写真右:卵殻色測定の様子 )
Ⅱ.内部形質
 1.ハウユニットについて
濃厚卵白の高さは、卵の大きさによっても異なるため、濃厚卵白の高さを比較しただけでは新鮮さの尺度として利用できないため、卵白の高さを卵重で補正したものをハウユニット(HaughUnit、HU)と言います。
通常、健康なニワトリの生んだ産卵直後の正常な卵では、ハウユニットは高く、約80以上の値を示します。小売り段階でも指標として扱われ、ハウユニットの基準を冬場は80、夏場は70以上としている量販店もあります。ハウユニットはニワトリの日齢が進むに連れて低下します。
(写真:ハウユニットの測定)
 2.血斑・肉斑について
卵を割った際、卵黄の表面に血液が付着していたり、卵の中に肉片のようなものが見られる場合があります。これらを血斑、肉斑と呼んでいます。
血斑は、卵巣や輸卵管の毛細血管が破れて、血液が卵黄または卵白に付着したものです。
肉斑は、卵巣で排卵される際に、卵胞組織の一部が卵黄に付着したか、卵殻の色素が卵白に沈着することなどによって生ると言われています。
血斑や肉斑は食用には全く害はありませんが、消費者には好まれない場合もあるため、血斑や肉斑をなくすことも、卵の内卵形質改善の大きな課題の一つとなっています。
(写真左:血斑、写真右:肉斑)
 3.卵黄について
卵黄の調査項目には、その形と色があります。
卵を割って平板の上に置いた際の卵黄の盛上り(高さ)を卵黄の直径で割った値を「卵黄指数」と呼んでおり、これを卵黄の形の指標として検査しています。新鮮な卵は卵黄指数は大きくなります。卵黄膜が弱く品質が低下すると卵黄指数は小さくなり、扁平な卵黄になります。
卵黄色は、色が薄くても濃くてもその品質や栄養にはほとんど差はありません。その色はエサによっても変化します(卵黄色は飼料中のキサントフィル類により濃くなり、それらはトウモロコシやアルファルファに多く含まれます。また、色を調整するための添加物もあります)。
卵黄色の測定にはヨークカラーファンが用いられます。
(写真:ヨークカラーファン。左は閉じている状態、右は使用する際に開いた状態です。)
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