去年の国内での高病原性鳥インフルエンザ発生により需給バランスから卵価が高騰し、割卵業者の殻付卵の緊急輸入で例年の10倍以上の1万4千tの輸入量となり、加工卵14万t、調理済卵6万3千t(推定)と合わせて合計22万tの輸入量に達し、これは、世界最大の鶏卵輸入国であるドイツの24万6千tに次いで世界第2位の鶏卵輸入国となったと報告しました。
一方で、鶏卵需要の4分の1が加工卵市場であり、そのうちの3割は輸入が占めており、加えて、国産の液卵不足に対応して全卵粉へのシフトが見られ、全卵粉の輸入急増等危険な状態にあるため、輸入卵への有効な対策として、国内の液卵加工メーカーの原料卵の安定的取引関係を築くことが大切であると述べました。このためには、鶏卵認証制度と日本版ECI(エッグ・クリアリング・ハウス・インク:JECI)を同時に構築していく取組を行い、JECIとして、全国又は一定のゾーンで交渉し、新たな加工原料卵相場を作っていく方法が必要であると訴えました。
また、増加している調理済み鶏卵への有効な対策はあまりないものの、その実態を解明し、一つ一つ克服していくしかないとも述べられ、例として、調理済み鶏卵の輸入で最も多いものに焦点を絞り、国産鶏卵での代替可能性を探るなど、対策を実施していくべきであると訴えました。
最後に、信岡助教授の研究室では飼料米のフィージビリティ(実現可能性)試験を行っており、飼料米を輸入飼料トウモロコシの代替として「国産飼料」として供給することで、国産鶏卵を差別化できないか、実際に飼料米作りを依頼して研究を行っていることを紹介し、各県養鶏関係試験場に対し共同研究への参加を訴えました。