調査研究
遺伝子育種
終更新日 2023/08/09

育種とは、特徴ある家畜、具体的には人にとって望ましい能力(泌乳量、産子数、肉質など)を向上させた個体や集団を作り出すことです。これまでは、血統などから優秀な能力を持つと考えられる父親と母親を選び出して交配させ、生まれた子畜から、次の世代の父親、母親となるものを選抜してきました(さらに詳しくは、 遺伝子育種<用語説明>のページへ へ)

一方、1990年頃から身長や体重などのように連続的な数値で表示される形質( 量的形質 )に関与する複数の遺伝子が染色体上のどの位置( 遺伝子座 )にあるのかを、DNA配列の個体間で異なる部分( DNAマーカー )を使って探索する方法が開発され、家畜においても、繁殖性、成長速度および肉質などの経済的に重要な形質を支配する遺伝子座を特定することが可能になりました。このように家畜の生産性や畜産物の品質などと関連のある遺伝子座を特定することができれば、特定した遺伝子座の情報を用いて家畜の選抜を行うことができます( マーカーアシスト選抜 )。

現在は、血縁や家畜個体の成績を統計学による分析に基づき、個々の遺伝子の作用ではなく遺伝子の集まりの特性を調べて、育種(改良)が行われていますが、上述のような個々の遺伝子情報を取り入れた育種手法は、従来の育種に必要であった時間、人員や施設等の経済面において飛躍的に効率化が図られるものと期待されています。

マーカーアシスト選抜は、様々な経済形質の向上を目的とした育種に力を発揮する手法と考えられています。現在のところ、乳用牛では繁殖性、肉用牛では成長や食味、豚では産肉性や繁殖性及び鶏では卵質などの形質をターゲットに調査研究を進めています。

家畜別プロジェクト