飼料作物

植物遺伝資源ジーンバンク

最終更新日 2023/08/23
動植物の新しい品種や新しい食料の開発を行う場合、その基礎となる生物が必要となります。そこで、農林水産業、食品産業等の技術開発の基礎資源である生物遺伝資源を収集、保存、配布する業務が実施されており、総称してジーンバンクといいます。農林水産省では、生物全般におけるジーンバンクの業務を行っています。

このうち、農業・食品産業技術総合研究機構基盤技術研究本部遺伝資源研究センターが中心となって、農業生物資源ジーンバンク事業(植物遺伝資源部門、微生物遺伝資源部門、動物遺伝資源部門、DNA部門)を行っており、家畜改良センターは、植物及び動物遺伝資源のサブバンクとなっています。
植物遺伝資源ジーンバンク
植物遺伝資源部門は、農業・食品産業技術総合研究機構基盤技術研究本部遺伝資源研究センターをセンターバンクとし、遺伝資源の導入、保存、データ管理及び配布、事業計画と推進の調整、国際対応等の役割を担っています。

センターバンクの下には全国各地にサブバンクを配置し、サブバンクはセンターバンクと連携をとりつつ、それぞれの組織の特徴を生かして、遺伝資源の探索収集、保存、増殖、特性評価等を行っています。
植物遺伝資源部門の運営体制
センターバンク サブバンク 取扱い作物名
農業・食品産業技術総合研究機構
基盤技術研究本部
遺伝資源研究センター
農業・食品産業技術
総合研究機構
中日本農業研究センター
北海道農業研究センター
東北農業研究センター
西日本農業研究センター
九州沖縄農業研究センター
畜産研究部門
果樹茶業研究部門
野菜花き研究部門
作物研究部門
種苗管理センター
稲類、麦類、いも類、
まめ類、雑穀・特用作物、
牧草・飼料作物、野菜類、
花き、果樹類、茶、
ナタネ、サトウキビなど
国際農林水産業研究センター まめ類、サトウキビ、
パイナップルなど
家畜改良センター 牧草・飼料作物
※雑穀・特用作物はあわ、ひえ、そば、いぐさ、てんさい、こんにゃく等
家畜改良センター植物遺伝資源保存等の状況
家畜改良センターは、植物遺伝資源部門のサブバンクとして永年性の飼料資源植物(オーチャードグラス、トールフェスク等牧草の他、のしば、すすき等)を植物体で維持管理する『栄養体保存』と、農業・食品産業技術総合研究機構基盤技術研究本部遺伝資源研究センター等で保存している種子のうち、育種研究等のために配布され不足する種子や、長期保存などにより発芽率が低下した種子を栽培し採種する『種子再増殖』を行っています。さらに、取扱う植物については、栽培時にその『 特性評価 』も実施しています。
栄養体保存(写真はすすき、のしば等)
種子再増殖(ソルガムの袋掛けによる交雑防止)
増殖種子の収穫
セルトレイで育苗した苗の移植
特性評価
特性評価はその目的によって1次特性評価、2次特性評価、3次特性評価に分けられています。
 
   特性評価の内容
1次特性評価 品種系統などの識別に必要な特性の評価

2次特性評価 遺伝資源として利用上重要な耐病虫性等の特性の評価

3次特性評価 生産力や品質成分等に係わる特性の評価

  主な評価項目
1次特性 草型
稈長
穂長
出穂期
・株の外周を形成する茎が地表と作る角度
・穂揃期における主要茎の地際から穂首までの長さ
・穂揃期1~2週間後における穂首から先端までの長さ
・有効茎数の50%程度が出穂を始めた日
2次特性 耐倒伏性
再生性
・倒伏した個体の全体に対する割合 極弱(100%)~極強(0%)
・1番草刈取後1~2週間目の再生状況の観察
3次特性 生草収量
乾物率
・収穫時に測定 秤量面積は1区2平方メートル
・生草収量測定時に生草約500gを70℃48時間通風乾燥後秤量