独立行政法人
家畜改良センター鳥取牧場

家畜改良の推進、優良な種畜や飼料作物種苗の生産・供給等を通じて、
我が国の畜産の発展と国民の豊かな食生活に貢献することを使命としています。

黒毛和種の一卵性双子の話(1回目)

【1】
一卵性双子について
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  鳥取牧場を含め家畜改良センタ-の肉用牛牧場では肉用牛の育種改良や調査試験を行っています。特に一卵性双子を人為的に作り、これを利用しての業務を進めています。そこで、牛の一卵性双子について、鳥取牧場や他の家畜改良センタ-の牧場で行った調査研究結果やこれまでの状況あるいは一卵性双子に関連する報告などに基づいて、このHP上で連載の形で少しずつ書きつづっていきたいと思います。おつき合いのほどお願いします。(なお、ここで述べることはあくまで著者個人の考えで鳥取牧場などを代表するものではありません)

1.牛の双子について
1-a.双子の出現頻度
  牛は人同様、本来一回の分娩で1頭の子牛を産みます。そして、まれに双子を産むことがあります。双子分娩の頻度は牛の品種によって若干異なると言われています。ホルスタイン種を中心とする乳用種では分娩全体の2-5%程度で、肉用種ではそれよりやや低いようです。鳥取牧場が扱っている肉用種である黒毛和種では0.1%という報告があります。この場合の双子は二卵性も一卵性も含めての数字です。乳用種の報告では一卵性双子は二卵性双子の1/5-1/10くらいとするものがあり、乳用種では一卵性双子の出現頻度は分娩全体の0.1-0.5%と考えられます(1)*。これをそのままあてはめると黒毛和種の一卵性双子の自然状態での出現は1万回の分娩で1組程度であると考えられます。二卵性双子は通常の兄弟が一緒に生まれたという状態であり、2頭の子牛は遺伝的に異なります。それに対し、一卵性双子は遺伝的には全く同じであるため、姿や能力も通常の兄弟以上に似通ってきます。このことにより一卵性双子は育種改良や調査試験に様々な利用が考えられています。これまで一卵性双子は自然状態での出現を待つのみでしたが、受精卵移植技術の開発により人為的に高い割合で得ることが可能になっています。

(鳥取牧場業務課 小西一之)
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(*:参考文献は最後に一括して掲載します)
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