独立行政法人
家畜改良センター鳥取牧場

家畜改良の推進、優良な種畜や飼料作物種苗の生産・供給等を通じて、
我が国の畜産の発展と国民の豊かな食生活に貢献することを使命としています。

黒毛和種の一卵性双子の話(3回目)

1-b-2.一卵性双子の作り方 <2>
図2の画像
図2
1-b-1では現在行われている一般的な一卵性双子の作り方を述べましたが、体外受精の技術を用いて一卵性双子を作る試みもされています。牛の体外受精では、食肉処理場で得られた卵巣の卵胞から未受精卵を取り出し※、約1日間の成熟培養後精子の入った溶液に入れ数時間培養し受精させます(これを媒精といいます)。その後、発生培地というものに移して2-5日間培養します。受精後2-5日目では細胞数は2-16個くらいです※※。

そこで、透明帯という受精卵の殻を除いた後、中の2-16個の細胞を細いピペットで吸ったり出したりして1個ずつバラバラにします。そのあとで、元が8個の細胞であったのなら4個ずつまとめて3-4日間培養すると2個の(一卵性の)受精卵ができることになります。この2個の受精卵を移植して一卵性双子を得ます(図2)。

 この方法を応用すると一卵性の受精卵が3個も4個もできる可能性があり、これまでに一卵性4子の生産が報告されています(3)。(一卵性3子や4子を作る研究は現在も進められています)

DSC031510001の画像
※:牛は食肉処理場で食肉にされます。卵巣は内臓として扱われますが、一般的には食用としての価値はあまりありません。卵巣の表面にはたくさんの卵胞があります。卵胞1つに1個の未受精卵があり、これを吸い取るなどして体外受精に用います。卵巣はBSE(牛海綿状脳症)の検査に合格した牛の卵巣を用います。

※※:生体ではこの時期(受精後2-5日目)の受精卵はまだ卵管にいて取り出すことが難しいのですが、体外受精ではシャ-レの中で観察できます。生体では受精6日目以降なら受精卵は子宮まで下りてきていて比較的取り出しやすいのですが、細胞数が多くなっていてこのような処理(細胞をバラバラにした後再 びまとめる)には不向きだと考えられます。  

(鳥取牧場業務課 小西一之)
 
このページの先頭へ