山羊飼養に関するQ&A (Q19~)
最終更新日 2023/09/08

Q19 山羊は歯の生え方で年齢が分かるのですか?
A19 山羊の前歯は順次乳歯から永久歯に生え替わり、この生え替わり方でおおよそですが年齢を推測することが出来ます。ただし、栄養状態や個体差によりばらつきがありますので注意。

 前歯(下顎のみ)8本(4対)について
年齢の目安 永久歯 備考
1才 2本(1対) 12-18カ月令
2才 4本(2対) 24-27
3才 6本(3対) 36-42
4才以上 8本(4対) 48-

Q20 山羊の首にぶら下がっているものは何ですか?
A20 肉髯(にくぜん)とか肉垂(にくすい)と呼ばれるもので、スイス原産のザーネン種等によく見られます。この肉髯の「ある・なし」は遺伝に依っていて、「ある」方が遺伝的に優性です。何のためにあるかというのは不明または機能はないというのが定説です。山羊の他にも鶏にあるのは皆さんご存じだと思いますが、豚でもメキシカンヘアレスピッグという毛のほとんどない豚にもあります。また、肉髯の付着位置は通常首ですが、耳にあるものもたまにいますし、大きさ、数(1つのものもいる)も様々です。

通常の首に2つあるもの

両耳にあるもの

片耳にあるもの


Q21 山羊乳製品等としてどんなものがあってどこで入手できるの?
A21 山羊乳製品としてはQ5の殺菌山羊乳の他にチーズ、ヨーグルト、アイスクリーム、お菓子、石鹸があり、山羊肉としては味付け山羊肉やレストランでの料理メニューがあります。


Q22 山羊が小屋から逃げ出しました。どうしてでしょう?
A22 山羊は「芸術的逃亡者である」とDaily Goat Journal(乳用山羊雑誌)に書かれているように、小屋から逃亡することが上手です。その理由としては次の3つが主なものとして考えられます。

1.ジャンプ力がある(特にザーネン種)ので、柵を跳び越えてしまった。
2.鍵を口でいたずらして開けてしまった。
3.柵の間から抜け出た。

対策として1.へは柵の高さ(理想としては150㎝以上)を確保する、発情期には雄と雌を柵を隔てて隣どうしにしない。2.へは簡単な操作で開くような鍵にしない(両手で開ける動作が必要なものか、針金で止める)3.へは縦幅はエサや給水のためどうしても顔の出る幅にならざるを得ないので、横に棒を通して肩と前脚が出せないようにする。 ことが考えられます。


Q23 山羊の腰麻痺というのはどういった病気ですか?
A23 線虫である糸状虫が原因で起こる病気で秋口に腰が抜けて立てなくなったり、初期症状としてはふらついたり、瞳孔が開いたりします。原因は牛の血を吸った 蚊が山羊を刺すことで糸状虫が移されて、これが山羊の神経を痛めて立てなくなります。この発生には品種差があって、ザーネン種にはよく起こりますが、シバヤギではほとんど起こりません。
対策としては次のとおりです。
1.予防としてイベルメクチンを蚊の発生する時期に1回/月程度注射
2.蚊に刺されないように網戸のある畜舎に夕方から朝の間は山羊を収容する
3.初期症状を見付けたらアンチリコンまたはイベルメクチンで治療
4.扇風機を山羊に向け、蚊がさせなくする
5.蚊の飛ぶ範囲に牛のいない場所で山羊を飼う
6.蚊の嫌うハーブ等の汁を乳房や尾の裏等に塗り込む


Q24 山羊の年齢はヒトで言うとどのくらいですか?
A24 個体差が大きいのと、産次にもよりますが、当場で当才種付け(満1才で分娩)し、毎年分娩している山羊(♀)の状態から、勝手に推測すると次のようなものだと思います。

山羊の年齢 参考情報 ヒト 参考情報
6カ月 発情 12~14才 初潮
1才 分娩 16~18才  
2才   20~23才  
3才   24~28才  
4才 全て永久歯に。乳量ピーク。 29~33才  
5才   34~40才  
6才 やや老化が目立つ。 41~50才 更年期
7才 急速に老化。分娩事故急増。 51~60才
8才 前歯の抜けるものが出現。  
9才 分娩の限界 71才~  
10才~    


Q25 乳房炎かもしれない。どうすればいいですか?
A25 前絞りでブツ(ドロッとしたもの)が出た場合乳房炎の可能性があります。この場合CMT変法(市販のP.Lテスター等を用いた検査)を行うか、獣医師あるいはお近くの家畜保健衛生所に乳の培養による細菌検査を行ってもらいます。これらの結果から乳房炎が強く疑われた場合は、獣医師の診断を受け抗生剤等の処方を行ってもらいましょう。
なお、乳房炎は日々の飼養管理で減らすことができます。畜舎を清潔に保つ、搾乳時は丁寧に消毒を行う、など基本的な部分を今一度見直してみてください。


Q26 今年出産していない山羊の乳房が張ってきた。
A26 通常山羊は出産しないと乳は出ませんが、こういった個体も中には見られます。長野支場でも例年数頭はみられます。考えられる原因としては、乳房炎あるいはホルモンバランスの乱れによるものがあげられます。乳房炎の場合は獣医師に相談し適切な治療を受けてください。ホルモンバランスの乱れに関しては詳しい研究がなされていないためあまり情報はありませんが、多くの場合は一度搾乳した後摂取カロリーを下げて飼育していると乳が産生されなくなり次第に張りが減ってきます。


Q27 病気の相談がしたい。
A27 かかりつけの獣医師またはお近くの家畜保健衛生所にお電話ください。こちらに電話をされても、実際にその個体・飼育環境を見ていない以上的確なアドバイスはできません。また、治療が必要な場合は最終的にかかりつけ獣医師に相談することとなり、二度手間になってしまいます。かかりつけ獣医師がいない場合は、お近くの家畜保健衛生所にご相談ください。


Q28 除角、人工授精のやりかたを学びたい。
A28 各種方法をまとめましたので

山羊飼養にかかる技術情報 をご覧ください。

また、長野支場では各種講習会を実施しています。
除角講習会は毎年3月頃、人工授精講習会は隔年で11月頃に実施しています。
その他個別研修の受け入れも行っております。詳しくは

 

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