暑熱耐性は、温湿度指数(THI)の変化に対する乳量および体細胞スコアの変動を暑熱ストレスの指標として評価を行い、標準化育種価(SBV)を公表しています。
THI = 1.8 × t + 32 -(0.55 - 0.0055 × rh) × (1.8 × t - 26)
※ t ; 日平均気温(℃) 、rh ; 日平均相対湿度(%)
暑熱耐性(円)はTHI=60(気温が約16℃、湿度が約50%)とTHI=72(気温が約25℃、湿度が約50%)の環境における乳量および体細胞スコアの評価値の差を暑熱耐性(乳量)と暑熱耐性(体細胞スコア)として、 以下の経済的な重みづけにより求めています。
暑熱耐性(円)= 35.7円 × 暑熱耐性(乳量)- 143.5円 × 暑熱耐性(体細胞スコア)
※「35.7円」は平成27~29年の生乳1kg当たりの所得、「-143.5円」は平均的な乳用牛における日乳量に対する体細胞スコアの増加による経済的損失
2000年以降の牛群検定記録で、以下の条件を満たすもの。
a. ホルスタイン種
b. 父牛が明らか
c. 検定の種類は立会検定(A4法、AT法(2回搾乳、3回搾乳※)又はAZ法)又は自動検定
d. 初産分娩月齢が18~35ヵ月齢であること
e. ICARの検定記録ガイドラインに準じ、一定の精度が保たれていること
f. 同一管理グループ(牛群・検定日・搾乳回数)に同期牛が5頭以上存在すること
g. 各雌牛の検定日記録数が6回以上であること
※交互性を保ったAT法(3回搾乳)
y= HTDT +ΣA・w +ΣBM・w +ΣML・v +Σpe・z +Σu・z +e
ただし、
y | 牛群内分散を前補正した検定日乳量または体細胞スコア |
HTDT | 牛群・検定日・搾乳回数(母数効果) |
A | 分娩時月齢(母数効果) |
BM | 地域(北海道または都府県)・分娩月(母数効果) |
ML | 分娩月・泌乳ステージ(分娩後70日以内、71~140日および141~365日)(母数効果) |
pe | 恒久的環境効果(変量効果) |
u | 個体の育種価(変量効果) |
w | (1 φ1(t) φ2(t) φ3(t) φ4(t) exp(-0.05t))と表される母数回帰式 |
v | (thi)と表される母数回帰式 |
z | 乳量は(1 φ1(t) φ2(t) φ3(t) thi)、体細胞スコアは(1 φ1(t) φ2(t) thi)と表される変量回帰式 |
e | 残差(変量効果) |
φ1(t)からφ4(t)は分娩後t日目に関するLegendre多項式を表し、thiはTHI≦60の場合にthi=0、THI>60の場合にthi=THI-60となります(乳量は検定日3日前、体細胞スコアは検定日8日前の数値を使用)。
形質 | 遺伝率 |
乳量 | 0.011 |
体細胞スコア | 0.005 |
2021-8月より採用
5年ごとに移動するステップワイズ方式を採用しており、2015年生まれの雌牛の評価成績を基準値(ゼロ)として表示しています。