R6-7 イタリアンライグラス等生産ほ場展示
最終更新日 2025/3/13

 宮崎牧場では、品種比較展示ほのほか、実規模の展示ほも設置しています。令和6年度は、イタリアンライグラスの新品種「那系33号」を栽培中です。

 「那系33号」は、従来品種「はたあおば」に3つの冠さび病抵抗性主働遺伝子を集積した新品種です。現在流通している品種である「はたあおば」や「ワセユタカ」よりも明らかに冠さび病に抵抗性を示します。
 2倍体の早生品種の「はたあおば」は、耐倒伏性が早生品種のなかで著しく強く収量性に優れる品種ですが、「那系33号」にもこの特徴が引き継がれています。
 
 「那系33号」の種子は、家畜改良センターで原種子を増殖・保管している段階です。今後、利用の声が高まれば、農家栽培向けの種子増殖と流通が進むことになります。
 

 

新品種「那系33号」の栽培概要について
 
 播種を、当場4-6区ほ場(4ha)に令和6年10月12日実施しました。
 その後の生育の経過を紹介します。

【は種直後の様子】

 順調に発芽してきました。

【11月末の様子】

 順調に生育しています

 

【3月上旬の様子】

 霜や降雪で葉先の変色が発生しておりましたが、気温の上昇に伴って回復しました。

【3月上旬の様子】

 拡大写真です。

   
 
 
 
イタリアンライグラス冠さび病について

 冠さび病は、関東以南の比較的温暖な地域での発生が多く、発生すると被害の大きい重要病害です。暖地では、早播きの場合、秋にも発生することがありますが、翌春の気温の上昇とともに被害が拡大することが多いです。初めは、黄色の腫れ物状の病斑ですが、やがて長さ1~2mm、幅0.5mm程度の楕円形病斑となり、表皮が破れて中から黄色~オレンジ色の夏胞子が現れます。激発すると、葉身全体が黄色い粉を吹いたように見え、やがて枯死に至ります。

 防除法としては、抵抗性品種を利用するとともに、適期刈取で刈取り回数を増やすほど防除効果が高くなります。

 また、遅播きを実施すると発生を抑制できますが、イタリアンライグラスの場合、遅播きするほど減収となるので現実的ではありません。

【冠さび病】

(画像提供 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構畜産研究部門)

 このように黄色の粉を吹いたような状態となります。

【冠さび病の病斑拡大】

 (画像提供 国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構畜産研究部門)