1.茨城牧場の衛生状況
(1)オーエスキー病
オーエスキー病は、オーエスキー病ウイルスを原因とする豚の伝染性疾病で、感染すると異常産や神経症状、哺乳豚の死亡などを呈し養豚経営に甚大な影響を及ぼします。
昭和56年に国内で初めて感染が確認され、その後全国に拡大しましたが、生産者と行政が一体となって清浄化を進めた結果、令和3年5月現在、茨城県の一部地域を除き、野外ウイルス感染豚は存在しなくなりました。
当場でも、過去にオーエスキー病の侵入を許しましたが、所管の家畜保健衛生所や外部専門家の御指導・御助言をいただきながら、疾病の排除を行った結果、現在では清浄性を回復しています。
その結果、当農場が所在する「茨城県筑西市藤ヶ谷北部地区」は、平成21年11月の地域防疫協議会において、「ステータス4」(清浄化達成)に認定されました。

(2)豚熱
平成30年9月、国内で26年ぶりに発生した豚熱は、令和3年5月までに13県で計68事例発生し、約24.2万頭が殺処分されました。
当場のある茨城県では、養豚場における豚熱の発生はありませんが、県北、県南の利根川沿い及び筑波山地東側で豚熱陽性の野生イノシシが見つかっており、侵入防止に気の抜けない状況が続いています。
当場では、飼養衛生管理の徹底を図るとともに、茨城県が豚熱ワクチン接種推奨地域に指定されたことを受け、令和2年3月から飼養豚全頭への豚熱ワクチン接種を開始しました。
(3)その他の疾病
上述のオーエスキー病のほか、豚繁殖・呼吸障害症候群(PRRS)、ブルセラ症及びサルモネラについて、定期的にモニタリング検査を行い、清浄性の確認(侵入の監視)をしています。
2.清浄性の確認(侵入の監視)
(1)臨床観察
毎日の臨床観察により、異常の有無を確認しています。
異常があった場合、早期の検査・治療により、重篤化を防止しています。
(2)モニタリング検査
ア.オーエスキー病・PRRS
飼養豚については、毎月60~100頭を抽出し(配布予定豚は全頭)、オーエスキー病及びPRRSのELISA検査を実施しています。ELISA検査で陰性を確認できない個体については、蛍光抗体法(IFA)により陰性を確認しています。

イ.ブルセラ症
精液を採取する雄豚は、種畜検査を受け陰性を確認しています。
ウ.サルモネラ
(ア)個体
配布予定の種豚は、全頭配布前3か月以内に、子豚は抽出で1か月以内に、培養検査により陰性を確認しています。
(イ)環境
豚舎については、年3回サルモネラ検査を実施し、サルモネラ症(S.Dublin、S.Typhimurium、S.Enteritidis、S.Choleraesuis)の病原体がないことを確認しています。

3.抗体保有状況のモニタリング
次の疾病について、年1回外部機関に検査を依頼し、抗体保有状況をモニタリングしています。
豚丹毒
日本脳炎
豚パルボウイルス感染症
豚胸膜肺炎(App)
豚マイコプラズマ肺炎(Mh)
4.ワクチネーション
当場では、疾病発生予防のため、次のワクチンを接種しています。
| 全頭 | 豚丹毒不活化ワクチン 豚熱生ワクチン |
| 種豚 (配布用、場内用) |
日本脳炎不活化ワクチン 豚パルボウイルス感染症不活化ワクチン |
| 種豚候補豚 | グレーサー病不活化ワクチン 豚胸膜肺炎・マイコプラズマ肺炎混合不活化ワクチン |
| 妊娠母豚 | 大腸菌不活化・クロストリジウムトキソイド混合ワクチン PED生ワクチン |
