分娩前の母豚への巣材の提供について
最終更新日 2023/06/16
分娩前の母豚への巣材の提供について

1960年代、ヨーロッパを中心に密飼い等の近代的な畜産のあり方に対する問題提起がなされ、英国で提唱された「5つの自由」を中心に、アニマルウェルフェア(以下「AW」という。)の概念が普及しました。
現在、EUではEU指令としてAWに基づく飼養管理方法が規定され、米国・カナダ・豪州等でも、州法による取組や生産者団体によるガイドラインが設定されるなど、各国でAWの向上に取り組まれています。

我が国では、AWに配慮した飼養管理を普及し、定着させるため、農林水産省が平成29年及び令和2年に「アニマルウェルフェアに配慮した家畜の飼養管理の基本的な考え方について」(畜産振興課長通知)を発出するとともに、公益社団法人畜産技術協会が、畜種ごとにAWの考え方に対応した飼養管理指針等を示しており、これを国内におけるAWの指針として活用してきました。

このような状況の中、国際獣疫事務局(OIE)においてAWに関する国際基準が順次策定されるなどの国際的な動向や、国民におけるAWへの関心の高まりを踏まえ、またAWの推進に国として主体的に取り組むため、農林水産省では畜種ごとの飼養管理等に関する技術的な指針を定めることとして、令和4年5月~6月までの間、パブリックコメントを実施しました。

これを契機に豚を扱う私たちの牧場では、特に分娩前の母豚がより快適に過ごせる環境を検討し、分娩前の母豚への巣材提供について調査を行い、その結果をまとめました。
国内では分娩前の母豚に巣材を提供している事例は多くありませんが、海外では分娩前の母豚に巣材を提供し、AWに配慮した環境を整えている農場は日本に比べ多いと考えられます。上記の国際的な動向などを踏まえると、今後日本でも分娩前の母豚に対する巣材提供に取り組む必要があります。
その際、今回の調査結果が皆様の参考になれば幸いです。

 分娩前の母豚への巣材の提供について
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