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移行抗体

最終更新日 2024/05/02
  • 1.乳を飲まない子豚はどうなるのか?
    新生子豚は、母親からの初乳によって免疫グロブリンを獲得します。このため、乳を飲まない(飲めない)子豚は、自然免疫のみで病原体と戦うこととなり、ほとんど免疫が備わっていないため、危険な状態になります。
    ※自然免疫と獲得免疫
    自然免疫とは、体内に生まれたときから備わっている免疫です。一方、獲得免疫とは、生まれたときには備わってなく、病気が入るごとにその強さが増していく免疫です。この免疫システムは、高等動物のみが持っている強力な免疫システムであり、獲得するまでに数週間の時間が必要となります。
  • 2.哺乳で得られた移行抗体の働き
    哺乳によって得られた移行抗体は、哺乳開始後30分で子豚の血清中に検出でき、12~24時間後には母親と同程度かそれ以上の水準になります。
    移行抗体は、母親から受動的に獲得した免疫であり、時間の経過とともに減少します。移行抗体の半減期9.1日~14.27日と考えられており、早晩消失します。
  • 3.初乳の摂取時期とIgG濃度の関係

  • 4.移行抗体の有効性
    • 有効に機能すること:移行抗体は、血液中に循環し、全身性の感染予防には有効に働きます。
    • 有効に機能しないこと:消化器や呼吸器における局所感染予防には限界があります。

以上の理由から、子豚は消化管や呼吸器病の予防のために、移行抗体だけではなく、絶えず抗体を受け取る必要があります。
常乳には、IgAが多く含まれており、粘膜上でIgAが機能することによって子豚は守られています(乳汁免疫)。