調査研究
めん羊の繁殖技術
最終更新日 2017/05/25
めん羊の人工授精技術

めん羊の人工授精は、優良種雄羊の生産やスクレイピーに対する抵抗性の高いめん羊群を造成するうえで必要不可欠であり、技術の普及が望まれています。しかし、めん羊は山羊や牛のように外陰部から精液を注入する方法では受胎率が低く、高受胎率を得るためには腹腔内視鏡を用いた子宮内人工授精に頼らざるを得ないのが現状です。

子宮内人工授精とは、雌羊の腹壁から精液注入器を挿入して子宮角に直接精液を注入する方法であり、1回の人工授精で55~80%の受胎率が得られます。また、少量の精子数(2.5千万/0.4ml/回)でも高い受胎率が得られることから、優秀な種雄羊の精液を効率的かつ有効に活用できますが、この方法は高価な器材や技術の習練が必要であり、実施に当たっては多くの人員を要するため、一般のめん羊生産現場で簡単に実施できるものではありません。

このため、家畜改良センターではめん羊人工授精技術の普及に向けた冷蔵希釈精液及び凍結精液による簡易授精手法に関する調査研究を行っており、徐々に受胎率は向上しています。今後、さらに研究を重ね、高位安定的な受胎率が得られる実用技術の開発を行うとともに、人工授精講習会の開催による技術者の養成や、凍結精液の収集、保管、供給業務を家畜改良センターが担うことにより、めん羊人工授精技術の普及に努めることとしています。