細断型ロールベールでのトウモロコシサイレージ調整
これまでトウモロコシのサイレージ調製は、サイロなどの施設を利用して貯蔵するのが一般的でした。しかし、炎天下での人手による詰め込み・密封など一連の収獲作業が重労働であり、また天候に左右されて作業が中断されると品質が安定しません。さらに、人手の確保、高齢化などが問題となってきました。
こうした現状を解決する新技術として広く普及し始めたのが「細断型ロールベーラ」です。
細断型ロールベーラは、従来より少人数で収獲調製作業が可能となり、踏圧等の作業が不要なことから省力化され、品質にバラツキのない安定した製品ができます。
トレンチサイロへの詰め込み作業
細断型ロールベーラーによる梱包作業
 1.作業方法
①ワンマン作業
②伴走作業
③定置積み込み作業
ワンマン作業、伴走作業はノンストップであることから、高能率作業が期待できます。
 2.原料の水分含量及び切断長
調製時の水分含量は、70%前後で梱包すると排汁ロスが少なく、より高品質サイレージに調製できます。
切断長は、10~13mm程度にすると梱包密度が高まり、2段積みを容易にします。(貯蔵場所が制限される場合に有効)
切断長が長いと芯の部分の残飼が多くなります。
 3.作業時の注意点
①伴走作業の場合、細断された原料をホッパー内に吹き込む際に、左右いずれかに偏って堆積されると歪な円形状にロール成形される場合があります。
②ほ場内でロール成形する場合、泥濘化した場所では土壌が付着し、品質低下の要因となるので、注意が必要です。また、包装する場合、切り株を事前にトラクターのタイヤでつぶす等により、フィルムの損傷を軽減できます。
 4.導入にあたってのメリット
①貯蔵施設が不要となります。
②ワンマン作業の場合、刈り取りから梱包と包装作業の2人で作業が可能となります。なお、梱包後2時間以内に包装すれば、品質に大きな差はありません。
③1日単位の作業から作業スケジュールの調整が柔軟に対応できます。
④他の長大作物(スーダングラス、ソルガム)などの梱包にも汎用可能です。
 5.サイロ貯蔵に比較してのメリット
①1ロール単位の成形・保管から天候の急変にも対応できます。
②踏圧作業が不要で、完全密閉なので、品質のバラツキが少ないです。
③必要量だけの開封から、2次発酵の心配がなくなります。
④若干の品質の低下はありますが、1年以上の長期保存ができるので通年給与が可能となります。
 6.デメリット
①梱包用ネットおよび包装用フィルムの経費がかかります。
②ワンマン、伴走作業において収獲ロスが3~5%程度あります。
③定置作業の場合、トラクター等の機動力が多く必要になり、作業終了時のロール成形できない原料等でロス(コンクリート床面)となります。
 7.新たな利用方法
サイロ貯蔵した製品を梱包・包装して再貯蔵することにより腐敗防止ができます。応用として、濃厚飼料や牧草類を混ぜたTMRとし、保管することが考えられます。
なお、水分が多い材料を長期保管した場合、水分が降下し、排汁としてにじみ出ることがあります。これを防止するためには、上下の向きを適宜入れ替えるようにします。
サイロより材料を搬出
材料をホッパーに投入
梱包された製品