熊本牧場では、暖かい気温で栽培するのに適した温暖地向けの飼料作物の種子を増殖しています。
たとえば、暖地型の牧草類、寒地型の暖地向け牧草類、穀類、および飼料用イネの種子です。
ギニアグラスは、東アフリカ原産の多年生の暖地型イネ科牧草です。
沖縄以外では、一年生牧草として栽培されます。
耐干性、耐陰性に優れますが、耐霜性と耐湿性が弱いのが弱点です。
主に、青刈り、乾草、サイレージに利用されます。また、沖縄などの無霜地帯では、
放牧にも利用されます。
写真:ギニアグラスの種子
写真:熊本牧場で種子を増殖しているギニアグラス「ナツカゼ」
バヒアグラスは、南米原産の多年生暖地型牧草です。
耐陰性、耐干性および耐寒性に優れており、放牧用および乾草用として利用されます。
写真:バヒアグラスの種子
写真:熊本牧場で種子を増殖しているバヒアグラス「ナンオウ」
イタリアンライグラスは、地中海地方原産の1~2年生の寒地型イネ科牧草で、
世界の温帯から亜熱帯まで広く分布しています。
初期生育が早く、寒地型牧草の中では適温地帯における冬季の成長が優れています。
一般的には採草用として利用されますが、暖地では冬季の放牧用にも利用されます。
写真:イタリアンライグラスの種子
写真:熊本牧場で種子を増殖しているイタリアンライグラス「きららワセ」
トールフェスクは、ヨーロッパ原産の多年生の寒地型イネ科牧草です。
深根性で地下茎を有するため、寒地型牧草の中ではもっとも耐干性・
耐暑性に優れています。
放牧および採草用として利用されます。
写真:トールフェスクの種子
写真:熊本牧場で種子を増殖しているトールフェスク「ウシブエ」
エンバクは、地中海地域が起源とされ、世界の温帯地域で広く栽培されています。
飼料用麦類のなかでは耐湿性が強いことが特徴です。
乾草およびホールクロップサイレージとして利用されます。
写真:エンバクの種子
写真:熊本牧場で種子を増殖しているエンバク「たちあかね」
飼料用イネとは、家畜のエサとして利用する目的として品種改良された稲です。
食用品種よりも生育が旺盛で茎葉が大きく成長する品種や、もみ(米)をたくさん収穫できる品種があります。
飼料用イネは、イネのどの部分を家畜のエサとして利用するかによって以下の3種類の品種に分けられます。
写真:稲ホールクロップサイレージ(WCS)向け品種「ミナミユタカ」
イネの全体(茎、葉およびもみ) を乳酸発酵させて家畜に与えるタイプの品種です。
牛の粗飼料として使われます。茎や葉が大きく育つのが特徴です。
最近では、「たちはやて」や「たちすずか」といった品種が開発されています。
写真:WCS
写真:飼料用米品種「ミズホチカラ」
お米(籾または玄米)を家畜に与えるタイプの品種です。
牛、豚、鶏の濃厚飼料として利用されます。
このため、籾の収量が多いのが特徴です。
写真:兼用品種「モグモグあおば」
植物体全体が大きく育つため、稲WCS用としても、飼料用米としても使えるタイプの品種です。
熊本牧場では、平成16年度から稲WCS向け品種の種子、19年度からは飼料用米向け品種の種子を増殖しています。また、飼料用イネ種子の増殖は日本草地畜産種子協会の受託で行っています。
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