家畜改良

評価形質:泌乳

最終更新日 2021/08/03

 泌乳形質の遺伝能力評価は、種雄牛および雌牛評価ともに同一のデータ採用条件を用いますが、雌牛については、データ採用条件の一部を変更して再計算を行っています。(2017-2月評価から)

データの範囲
公式評価(種雄牛・雌牛)

 1)フィールドデータ

a.    ホルスタイン種

b.   父牛が明らか

c.    検定の種類は立会検定(A4法、AT法(2回搾乳、3回搾乳)又はAZ法)又は自動検定

d.   初産から3産までの検定日記録(分娩後305日以内)ただし、各産次の分娩月齢は、初産1835ヶ月齢、2産3055ヶ月齢、34275ヶ月齢であること

e.    ICARInternational Committee for Animal Recording:家畜の能力検定に関する国際委員会)の検定記録ガイドラインに準じ、一定の精度が保たれていること

f.     同一管理グループ(牛群・検定日・搾乳回数および牛群・検定年・産次(初産または23産))に同期牛が存在すること

 2)ステーションデータ

 家畜改良センター(岩手、宮崎牧場)および22道県で実施していたステーション検定は01総合で終了していますが、それまでに収集された記録については評価に用いています。今後データは追加されません。

雌牛再計算

 種雄牛・雌牛評価のデータの範囲 1)フィールドデータ c. および d. が以下の条件に変わります。

c.    検定の種類は立会検定(A4法、AT法(2回搾乳、3回搾乳)又はAZ法)、自動検定および自家検定によるもの

d.   初産から3産までの検定日記録(分娩後305日以内)
ただし、各産次の分娩月齢は、初産1747ヶ月齢、2産2467ヶ月齢、33687ヶ月齢であること

 ※交互性を保ったAT 法(3回搾乳)

  • 1回検定法:毎月の立会検定を、[朝-昼-夜-朝-昼-夜]のように一定の順序で行う方法
  • 2回検定法:毎月の立会検定を[朝昼-昼夜-夜朝-朝昼-昼夜-夜朝]のように一定の順序で行う方法
評価方法
多産次変量回帰検定日モデル

 = HTDT +ΣBMw +ΣPAw +Σhypv +Σpez +Σuz +e

ただし、

牛群内分散を前補正した、検定日乳量または乳成分量
HTDT 牛群・検定日・搾乳回数(母数効果※)
BM 地域(北海道または都府県)・分娩月(母数効果)
PA 産次・分娩月齢(母数効果)
hyp 牛群・検定年・産次(初産または2-3産)(変量効果※)
u 個体の育種価(変量効果)
pe 恒久的環境効果(変量効果)
e 残差(変量効果)
w (1 φ1(t) φ2(t) φ3(t) φ4(t) exp(-0.05t))と表される母数回帰式
v (1 φ1(t))と表される変量回帰式
z (1 φ1(t) φ2(t))と表される変量回帰式

 φ1(t)からφ4(t)は分娩後t日目に関するLegendre多項式を表します。

 ※母数効果:例えば、HTDTの場合、牛群A・1990年1月1日・2回搾乳や牛群B・1991年2月1日・3回搾乳というような、それぞれの区分毎に固有の大きさをもつような効果を表す。

 ※変量効果:例えば、全きょうだい間で、それぞれが受け継いだ遺伝子が異なるなど、同一区分内でバラツキを持つと考えられる効果を表す。

総合育種価の計算

 多産次変量回帰検定日モデルでは産次別の育種価を計算した後、各産次を1つまとめた総合的な遺伝的能力を表す総合育種価を下記の式で計算し、総合育種価を個体の遺伝的能力として公表します。

 総合育種価=W1×初産の育種価 + W2×2産の育種価 + W2×3産の育種価

 ただし、W1からW3は各産次の重みを表し、各産次の記録数に応じて初産(W1)0.40~0.65、2産(W2)0.22~0.34、3産(W3)0.13~0.26の範囲を用います。

遺伝率

 泌乳各形質の遺伝率

形質 総合 初産 2産 3産
乳量 0.500 0.433 0.382 0.362
乳脂量 0.498 0.405 0.387 0.377
無脂固形分量 0.448 0.386 0.342 0.330
乳蛋白質量 0.429 0.360 0.333 0.335

 2015-2月 より採用

乳成分率の計算

 乳成分率は、乳量・乳成分量の育種価から、次の式により間接的に計算します。下記は乳脂率の例です。

 

ただし、

EBVF% 乳脂率のEBV
EBVF 乳脂量のEBV
Fbase 乳脂量の全平均
EBVM 乳量のEBV
Mbase 乳量の全平均

※無脂乳固形分率、乳タンパク率についても同様の方法で計算されます。

遺伝ベース

 5年ごとに移動するステップワイズ方式を採用しています。国内雌牛及び海外種雄牛については、2020年12月の評価から、国内種雄牛については2021年2月の評価から、遺伝ベースを2015年生まれの雌牛の評価成績を基準値(ゼロ)として表示しています。