乳汁中の体細胞数は、多くの場合1ml 当たりの細胞数によって表示されますが、値をそのまま評価に利用することができないことから、体細胞数を対数変換した上で計算に用い、形質名を「体細胞スコア」としています。体細胞スコアの遺伝率は10%以下と非常に低く、補助的な情報として利用することが好ましい形質です。また、乳房炎に深く関係するこの形質は、数字が小さい方が「良い牛」となるため、評価値の大小・順位が乳量等とは逆になる点に注意が必要です。
家畜改良業務
家畜改良
評価形質:体細胞スコア
最終更新日 2022/12/06
体細胞数とスコアの関係
体細胞数 X(千個/ml)= Log2(X/100)+3
体細胞数(個/ml) | 評価に用いる体細胞スコア |
---|---|
12,500 | 0.00 |
25,000 | 1.00 |
50,000 | 2.00 |
100,000 | 3.00 |
200,000 | 4.00 |
400,000 | 5.00 |
800,000 | 6.00 |
1,600,000 | 7.00 |
3,200,000 | 8.00 |
6,400,000 | 9.00 |
12,800,000 | 10.00 |
データの範囲
牛群検定記録のうち、以下の条件を満たす記録。
- ホルスタイン種
- 父牛が明らか
- 検定の種類は立会検定(A4法、AT法(2回搾乳、3回搾乳※)又はAZ法)又は自動検定
- 初産の検定日記録
ただし、初産時の記録は、分娩月齢が18~35ヶ月齢であること - 同一管理グループ(牛群・検定日・搾乳回数)に同期記録が存在する
- cおよびdを満たす記録が62日以内に1つ以上、305日以内に3つ以上あること
※交互性を保ったAT法(3回搾乳)
- 1回検定法:毎月の立会検定を、[朝-昼-夜-朝-昼-夜]のように一定の順序で行う方法
- 2回検定法:毎月の立会検定を[朝昼-昼夜-夜朝-朝昼-昼夜-夜朝]のように一定の順序で行う方法
評価方法
母数回帰検定日モデル
- y=HTDT+A+pe+u+at+b×exp(-0.05t)+e
ただし、
y | 対数変換後の初産体細胞数(スコア) |
---|---|
HTDT | 牛群、検定日、搾乳回数(飼養管理グループ)の効果(母数効果) |
A | 分娩時月齢の効果(母数効果) |
pe | 恒久的環境効果(変量効果) |
u | 個体の育種価(変量効果) |
t | 搾乳日数 |
aおよびb | Wilminkの泌乳曲線で用いる定数 |
e | 残差(変量効果) |
遺伝率 | 0.100 |
---|
2022-12月より採用
遺伝ベース
5年ごとに移動するステップワイズ方式を採用し、基準値はゼロではなくベース年生まれの雌牛の体細胞スコア平均値としています。現在、国内雌牛及び海外種雄牛については、2020年12月の評価から、国内種雄牛については2021年2月の評価から、遺伝ベースを2015年生まれの雌牛の評価成績を基準値(2.04)として表示しています。