写真は12月23日撮影
イタリアンライグラス、エンバク、オーチャードグラス、トールフェスクの公的育成品種について、品種比較の展示ほを設置しました。
イタリアンライグラスは「Kyushu1」、比較品種として「ワセユタカ」「ガルフ」など市販品種を、エンバクは「はえいぶき」、比較品種として「ウエスト」など市販品種を並べて展示しています。
オーチャードグラスは現在、今後販売予定の新品種「まきばゆうか」と、比較品種として「アキミドリⅡ」とトールフェスクの「ウシブエ」を展示しています。
【イタリアンライグラスの展示品種と展示の目的】
「Kyushu1」は、極早生でいもち病抵抗性が高く、9月中の早播きが可能で、(早播きした場合)年内に収穫後、再生草も3月中に収穫できる品種となります。2017年品種登録出願公表。
比較品種として栽培している「ワセユタカ」は、早生品種で、栽培しやすいという評判の品種ですが、育成から年月が経っており、倒伏しやすく収穫ロスが発生しがちなことから、立ち型の品種など各県の奨励品種を選択することをお勧めします。1972年農林認定。
今回の展示では、春先の天候不順等により適期収穫を逃すリスクを回避する目的で、年内収穫が可能な極早生品種「Kyushu1」を、従来より早い10月1日に播種(従来は10月下旬播種)し、年内収穫が可能か否かを展示します。
他の品種についても播種作業の集中を避ける目的で、早播きが可能か、特に早播き栽培で懸念されるイタリアンライグラスいもち病の発生程度等を比較、展示します。
「はえいぶき」は、極早生の品種で、初期生育と耐倒伏性に優れています。9月末までに播種すると年内出穂が得られ、収穫が可能となります。
イタリアンライグラスの展示同様、従来より早く播種することにより、年内収穫が可能か否かを展示します。
オーチャードグラスの「まきばゆうか」は、越夏性に優れ広域適応性を有する新品種で、現在、種子を海外で増殖中です。
比較品種として、現在市販されている温暖地向けの極早生品種「アキミドリⅡ」と、越夏性に優れ、暖地での適応性が高く、放牧向きトールフェスクの「ウシブエ」を比較栽培しています。
当場では、品種比較展示ほのほか、生産規模の展示ほも設置しています。本年度は、イタリアンライグラス「那系33号」、エンバク「はえいぶき」、エンバク「たちあかね(イタリアンライグラス「さちあおば」を混播)」を栽培中です。
イタリアンライグラス「那系33号」は、早生品種で「はたあおば」に冠さび病抵抗性を付与した新品種で、現在、家畜改良センターで原種子を増殖・保管中です。(展示の詳細はこちらから)
エンバク「たちあかね」は、極早生品種で、倒伏に強く早播きでの年内収穫は多収となります。
エンバク「はえいぶき」は、極早生品種で播種時期が9月下旬に遅れても年内出穂期利用が可能な品種となります。
(エンバク「はえいぶき」、エンバク「たちあかね」の展示は終了しました)。
この展示ほは、要望いただければいつでも見学することができます。ご希望の方は、当場業務第二課 飼料班まで連絡をお願いします。
早播き区の播種を10月1日に、普通播区の播種を11月7日に実施しました。
その後の生育の経過を紹介します。画像をクリックするとタイムラプス動画がご覧いただけます。
【R6年11月前半の様子】
早播き区のワセユタカ等いもち病抵抗性がない品種では、いもち病が発生し雑草が優先しつつあります。抵抗性品種のKyusyu1はいもち病発生がなく生育旺盛です。
【2月後半の様子】
早播き区の刈払いを実施しました(坪刈り調査を1/30実施)。
その後は、比較的暖かい日が続きましたので、順調に再生しています。11月播種の遅播き区も生育順調です。