危険表示板は、電気牧柵の近くを通行する人に注意喚起するために必ず取り付けます。目につきやすい位置に危険表示板を取り付けましょう(写真19)。また、牛が脱柵した場合に発見者から連絡してもらえるよう、危険表示板に連絡先を記入しておきます。
写真19 危険表示版の設置
文字が大きく、子供や老人でも分かりやすいものを使用します。
電気牧柵は専用の電牧器を使用することで、パルス電流をワイヤーに流します。そうすることで、数千ボルトの微電流を約1秒間隔で1回程度流れるようになります。
この仕組みにより人が誤って電牧線へ触れてしまっても、瞬間的に流れるのみですぐに手が離せることができ人体への影響はありません。もし、濡れた状態で電気牧柵に触れた場合は乾いた状態よりも、強い衝撃を受けます。
もちろん、人体への影響が少ないからといってむやみに触れるのは大変危険です。
過去には自作の電牧機を使用したことによる電気牧柵での死傷事案が発生しており、農水省では定められた以下の基準を
満たすよう呼びかけを行っています。
①
危険である主旨の表示をすること
②
出力電源が制限される電気柵電源装置を使用すること
③
漏電遮断器を使用すること
④
開閉器(スイッチ)を使用すること
農林水産省http://www.maff.go.jp/j/seisan/tyozyu/higai/tyuuikanki/denkisaku.html
図9 ゲートの概要図
作業機械や人が放牧地に出入りしやすいようにするため、専用のゲートを設けます(写真20)。
もし、放牧地に複数のゲートがある場合、一つでもゲートが開いている状態では回路が成り立ちません。これを解消するため、ワイヤーを地中に埋設し
、これを外周柵のワイヤーに接続します(図9)。これで、いずれかのゲートを開けた状態であっても、地中に埋設したワイヤーにより常に外周柵全体へ電気が行き渡ります。
写真20 ゲート作成例
<ポイント1> ゲートの設置方法
ゲートでは、支柱を門柱として使用します。直径30㎜のパイプの中にワイヤーを通し、これをゲート部分の地中50㎝の深さに埋設します(写真21)。クランプを用いて埋設したワイヤーの先端と外周柵のワイヤーを接続します(写真22)。埋設ワイヤーを設置することにで、ゲートを閉じていなくても常に電気が流れます。ゲート部分には、ゲート用のフックおよびワイヤーを取り付けます。門柱に避雷器を取りつけ落雷による電牧器の故障を予防します(写真23)
埋設したケーブルは、地上のワイヤーとつなげます。
ゲート部分には、ゲート用のフック付きハンドルおよびワイヤーを取り付けます。ワイヤーは伸縮する特殊なものが数種類あり、適したタイプを選定します。
宮崎牧場では幅4mのゲートにはバネ仕様のスプリングタイプ(写真24)を、幅5~7mにはゴム状のワイヤー仕様のロープタイプ(写真25)を使用する等、場所によって使い分けています。
写真24
スプリングタイプのゲート
高伸張性のバネが施されたゲート。耐久性があり
、取り扱いやすさに優れていますが、ゲート幅が広すぎるとスプリング同士が絡まる恐れがあります。
写真25 ロープタイプのゲート
ゴム状のワイヤーにステンレス線が編み込まれたゲート。延長距離をスプリングタイプよりも長くできます。だたし、耐久性は低く劣化により切断しやすいです
。
送電可能距離や電源の種類に応じて、適切な電気柵用電源装置(電牧器)を設置します。
電牧器には 、
近くの商用電源(AC電源)に接続し電気を送る方法(図10、写真26)
と、ソーラーパネルとバッテリーを使用し(写真27)で電気を送る方法の2種類あります。
電牧器の耐用年数は、メーカーや商品にもよりますが一般的には8~10年になります。使用する際は、電牧器のプラス側は付随のケーブルでワイヤーとつなぎ、マイナス側はアース棒からのリード線につなぎます。
図10 商用電源の設置概要図
写真 26 商用電源の使用
直接AC 100V または 200V の電源を使用する場合は、漏電遮断器の設置(写真の赤丸)が必要です 。
写真27ソーラーパネルの使用
ソーラーパネルとバッテリーを使用することで、電源のない場所でも電気を供給できます。
アースは地中に流れた電気を引き戻す役割をしています。牛が電柵に触れた場合、電流が牛の体をつたって地中からアースへと流れるため、電気ショックが与えられます。アースが錆びていたり設置が不十分だったりすると、回路が成立せず電気が流れない場合があります。
アース棒は湿り気のある地中に深く埋め、間隔はできるだけ離れて設置し、1m以上あるアース棒の場合、2m以上開けるようにします。宮崎牧場では長さ約1mのアース棒を地中に3本打ち込んでいます。
アースを設置したら、アース棒からのリード線は電牧器のマイナス側と接続します。
電牧器を稼働し、電気テスターを使用して各段とも3000V以上の電圧が来ていることを確認します。なお、脱柵防止には3000V 以上の電圧を確保することが必要とされています(写真28) 。
写真 28 電圧確認の様子
電圧が低い場合は、電牧器から電気が正常に送られているか、または、草木により漏電していないか調べます。